不動産投資 調査直前の修正申告で重加算税を回避した=中山慎吾
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納税者が不利になることも多い不動産所得の税務調査。実際にあった税務調査の例と、ピンチを乗り切ったその対処法を紹介する。
ケース(1) 修繕費の架空計上でピンチ
「税務調査があるので助けてください」。個人で不動産投資をし、毎年の確定申告も自らしていた納税者から相談を受けた。不動産所得に対する税務調査を行いたいと税務署の個人課税部門から電話があったとのことで、調査が3日後に迫っていた。確定申告書数年分を確認すると、不動産の収支内訳書を見て修繕費が毎年多額に計上されている点が気になった。確認すると架空の修繕費を計上したという。
このままの状態で税務調査が始まってしまうと、重加算税の課税要件である「仮装・隠蔽(いんぺい)」と指摘されてしまうことはほぼ確実。そこで、調査が始まる前に、急いで仮装計上された修繕費部分を除外した修正申告書を作成提出。重加算税を回避することができた。
仮装や隠蔽で申告した場合に重加算税を罰則的に課税することは国税通則法第68条によって定められているが、条文の中にはこれが回避される条件として「更正があるべきことを予知されたものでない場合を除く」という文言がある。この文言の解釈を巡っては税法を研究している学会でもいろいろな考え方があるが、実際の調査が始まっていなければ「更正があるべきことを予知された場合」にはならない=重加算税が課されないとする解釈が一般的だ。この解釈を…
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週刊エコノミスト
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