マーケット・金融

及能正男・元西南学院大学教授 元銀行マンが解き明かした大手行の不良債権と淘汰・再編=平野純一

愛妻家だった及能さん
愛妻家だった及能さん

 元西南学院大学教授で金融論が専門の及能(きゅうの)正男さんが、11月13日亡くなった。87歳だった。本誌では、バブル崩壊後の1990年代、銀行の不良債権問題とそれに伴う銀行の合併・淘汰(とうた)の姿を詳細に分析して執筆した。

 最も印象に残るのは94年以降、10年にわたって続けた大手銀行の決算分析だ。膨大な不良債権を抱えて窮地に陥った銀行の実像を、元三井銀行(現三井住友銀行)マンの及能さんが専門知識を生かして決算を詳細に読み解き、明らかにした。94年3月期決算以降、3月末の本決算と9月末の中間決算の年2回、銀行決算分析の原稿を掲載していくことが恒例となった。

 94年3月期決算を94年6月14日号で分析した時、大手銀行は都銀11行、長期信用銀行3行、信託銀行7行の計21行あった。しかし、及能さんの決算分析の最後となった2003年9月中間決算では13行に減っていた。この間に東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)の誕生、北海道拓殖銀行の破綻、メガバンクの誕生など、合併や破綻で行数はどんどん減っていった。

「消える銀行」

 94年6月14日号の原稿で、すでに見出しは「3月期決算でわかった『消える銀行』」というセンセーショナルなものだった。以後、「〈緊急分析〉銀行、赤字決算の荒野─細密分析でわかった『救われざる銀行』」(96年6月11日号)、「詳報主要行2001年9月中間決算─不良債権の償却原資は枯渇 さらなる再編は不可避になった」(01年12月11日号)などと厳しい論調が続いた。銀行の破綻や統合が…

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週刊エコノミスト

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