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ズバリ!株価を読む 3万5000円も視野、カネ余りは続く=三宅一弘

 2022年の日本株見通しは22年度の企業の増益率とPER(株価収益率、株価が1株当たり利益の何倍かを示す)の変化率が基本になろう。まず、日本をはじめ主要国の企業収益は、コロナ禍の打撃で20年度に急減した後、21年度に急回復した。22年度の増益率は10%前後が予想される。日本企業の増益率予想からみると、22年末の日経平均株価は前年比10%前後の上昇、おおむね3万3000円が基本線となろう。

 日米の12カ月先予想PERでみると、21年は米国株への関心の高まりが鮮明で日本株の割安感が際立った。21年は米国の予想PERが1〜11月は約21倍でほぼ横ばいの一方、日本は1月の17倍から11月は14倍割れに低下した。差は1月の3ポイント台から11月は7ポイント近くに拡大し、過去35年間で最大の開きとなった。

 この主因は日本で当初、新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れ、経済活動の制限措置などで内需の停滞が続いたことや、半導体不足や工場の稼働率低下で大黒柱の自動車が大減産に陥ったことだ。さらに副因として、秋の衆院選で与党大敗・政治不安観測がくすぶったことが挙げられる。

 ところが、秋以降、日本の新型コロナ感染は沈静化し、経済再開に大きくかじが切られるとともに、供給制約の改善から自動車が挽回生産に転じた。衆院選も与党勝利で政治不安が後退し、大型経済対策発動が決まった。国内景況感の好転が今後鮮明化して22年に日本のPERが数ポイント切り上がると、日経平均の上値余地は3万5000円前後に上振れも予想さ…

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