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「この勉強法なら誰でも『MARCH』に入れる」 東大E判定だった僕を現役合格に導いた“エピソード記憶”とは

    「受験で結果を残す」ために必要なこととは…
    「受験で結果を残す」ために必要なこととは…

     本格的な受験シーズンを控え、受験生本人はもちろん、周囲で見守る大人たちも、さまざまなことに気を遣い、神経を尖らせているだろう。現役東大生社長として三つの会社の経営に携わる三上功太さんも、5年前はそんな受験生の一人だった。12月に出版した「月に1億円稼ぐ現役・東大生社長の勉強法」(KADOKAWA)は、模擬試験で東大合格「E判定」を突きつけられてからわずか半年で合格を勝ち取った自身の経験がもとになっている。脳の特徴を活かしたユニークな勉強法や、受験で結果を出すための秘訣について、語ってもらった。

    東大で出会った「本当に頭が良い人」の特徴

    「奇跡の合格」を果たした三上さんが、東大(理科2類)入学後に驚いたのは、一部の同級生の「天才」ぶりだったという。

    「一度見ただけのものを、その場ですぐに暗記してしまったり、何の苦労もせずに東大の理科3類に合格しまうような“神童”が世の中にいることを知ってビックリしました。同級生に対して常に『到底自分は太刀打ちできない』と感じていました」

    「でも一方で、『志望校に合格する』という観点からいえば、必ずしも“天才”である必要はないことにも気づきました。短期間の受験勉強で合格を勝ち取るには、『本質的な頭の良さ』よりも『頭の正しい使い方』が大切なのだと思うようになりました」

    「正しい方法で勉強すれば難関大学に合格できる」と言う三上功太さん
    「正しい方法で勉強すれば難関大学に合格できる」と言う三上功太さん

     見事、東大合格を手にした自身の経験を生かし、教育関連事業を始めた三上さんは、勉強法についてこう分析する。

    「人間の記憶には、円周率などの数字を延々と覚えていくような『意味記憶』と、自分自身の想い出を交えながら覚える『エピソード記憶』の2種類があり、これらを使い分けができている人は、良い結果を生み出している傾向があると思います。例えば、黒板をノートに写しただけの『意味記憶』は、短期間で忘れてしまいがちですが、授業の光景を印象付けたりしながら『エピソード記憶』に変換すると、長期的な記憶として印象に残りやすくなります」

    「『語呂合わせ』なども、『意味記憶』を『エピソード記憶』に変える作業ですよね。『記憶力が良い』と言われている子は、エピソード記憶の比重を増やし、知識を積み上げてやすくしている。なので、頭の使い方を変えるだけでも結果を残しやすくなるんですよ例えば、『暑い日に図書館で勉強をやった』とか、教科書に書いてあること以外の情報があると、結果として成績を向上させる近道になりますね」

    MARCHには誰でも入れる?「頭の悪い子」の成績を上げる方法

     さらに三上さんは、「受験に失敗する理由は、『期日に間に合わなかった』、『方法が悪かった』の2通りしかない」と持論を展開する。

    「『試験日までに勉強を終わらせることができるかどうか』はさておき、もし『ノートを真面目に取っているのに、あまり成績が上がらない』という状況に直面したとしたら、効率の悪い方法で勉強してしまっている可能性があります。個人的には、『頑張りが結果につながらない子』は、『意味記憶』のコピーアンドペーストで問題を解いていることが多い印象を受けます。日本は、『コピーアンドペースト』の教育をしているケースがほとんどなのですが、目の前にあるさまざまな情報を“コピー”していると、情報に間違いが生まれ、結果として勉強につまずいてしまう。なので、新しい知識に出会った時に、じっくりと“意味”を考えながら取り組む意識がまずは必要だと思います」

     三上さんは続ける。

    正しい勉強法を身につければ「MARCH」もそう遠くはない
    正しい勉強法を身につければ「MARCH」もそう遠くはない

    「日本の教育は『コピーアンドペースト』をベースにしているので、本質的な意味での『賢い人』が少ないように思うんです。なので、正しい方法で勉強すれば、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の総称)といった難関大学に合格する可能性は、高くなると思います」

    「一般的な受験の世界では、『MARCH』とか『関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の総称)』に入れたら、『成功した』ということになりますよね。正しい頭の使い方を意識しながら立体的に知識を脳内に積み重ねていけば、これらの難関大学も射程圏に捉えられる。もちろん勉強時間や労力は必要になりますが、さらに上を目指すこともできます」

    「まずは正しい頭の使い方をマスターし、効率良く知識を取り入れることが、受験戦争を勝ち抜く近道になると思います」

    子供が「受験で結果を残す」ために、親がすべきこと

     子供を持つ親にとって、子供の勉強や将来に対する不安は計り知れないものだ。つい、「子供を強い口調で怒ってしまった」という経験を持つ人も多いのではないのだろうか。

     子供が「正しい頭の使い方」を身につけるためには、「両親や周囲の大人たちが、物事の理解を進める『3つの質問』を繰り返すことが重要だ」と三上さんは言う。

    「親は子供の意見に対して、『なぜ?』『それで?』『本当に?』という、子供自身が思考を掘り下げるのに役立つ3つの問いかけをしてあげることが大切だと思います。これらの質問は、子供自身が物事を理解し、思考を深めるきっかけにもなりますし、結果として『エピソード記憶』を作り上げることにもつながる。子供の理解を深められる環境を整えることを、まずは考えるべきではないでしょうか」

     とは言うものの、実際には大人の思い通りには進まないことも多い。その際の対処法について、三上さんはこう続ける。

    「子供に『なぜ?』と聞いても、時には答えられなかったりすることもありますが、決して圧力を感じさせるのではなく、子供に思考を促すような質問をするべきだと思います。例えば、『宿題やりたくない』と駄々をこねる子供に対して、『どういうところが嫌なの?』と優しい言葉で問いかけてみたりするとか…」

    「子供に厳しく接し、無理やり何かをやらせることもできますが、それは結果として、子供のやる気や、真剣に考える時間を奪ってしまうことになる。つい子供の行動に口を挟んでしまったり、さまざまなハードルに直面することもありますが、まずは子供が抱いた関心や、物事に向かうエネルギーを減らさないように振る舞うことが大切。『どうすれば子供に動いてもらうか』ということを考えながら接していくべきだと思います」

    「E判定」からの奇跡の合格を後押ししたもの

    「高校3年生の模擬試験でE判定だった」という三上さんが、わずか半年で東大合格を勝ち取ることができた背景には、「幼少期から『エピソード記憶』を積み重ねる習慣が身についていた」ことが大きかったという。

    「両親が、幼少期からことあるごとに『なぜ?』と問いかけてくることもあり、きちんと考える習慣が身についていました。高校生だった当時はわかりませんでしたが、本来であれば受験校の再考を求められるような状況から、短期間で合格を勝ち取れた一番大きな理由だったと思っています」

     現在は、現役東大社長として教育事業に携わっており、親御さんからの相談を受けることもあると言う三上さんだが、考え方は極めてクールだ。

    「結局のところ、受験やその後の人生は子供自身のもの。なので、周囲の人がどんなに心配してもサポートくらいしか出来ることはないんですよ。あえて言うなら、子供のモチベーションや、目標に向かうエネルギーを保ってあげることですかね。高校時代の僕も、一見無謀な東大受験を認めてもらえたことが本当に嬉しくて、『結果を出そう』という気持ちになりましたから。日頃から考える習慣と、後ろからそっと見守りながら、時に後押ししてあげることが大切だと思います」

    取材・文 白鳥純一

    三上功太

    1998年10月15日生まれ。高校3年生の春に東大進学を決意。当時の成績は、学年でも最下層。模試での東大の合格判定はE判定だったものの、そこから独自の学習法でわずか半年でA判定に到達し、現役東大合格(東京大学理科2類)を果たす。大学入学後、ビジネスに興味を持ち、2017年に起業。現在は、教育関連業のラーニングハック(所在地:東京都港区)、マーケティング業のアドネス(所在地:東京都新宿区)の代表を務めるなど、3社を経営。2021年3月には、世界的に注目されているニューロサイエンスを取り入れた学習法『ニューロサイエンスキャンプ』をリリース、2021年6月にはSNSマーケティング人材育成サービス『センサーズ(SNSERS)』をリリースし、注目を集める。2021年12月に「月に1億円稼ぐ現役・東大生社長の勉強法」(KADOKAWA)を出版。

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