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早慶でも“関東ローカル化” 押し寄せる「志願者減」の波=安田賢治

早慶でも“関東ローカル化” 押し寄せる「志願者減」の波=安田賢治

 <コロナで加速! 大学の地方学生争奪戦>

 いよいよ大学全入時代の到来だ。日本私立学校振興・共済事業団によると、今春の私立大の入学者数は49万4213人にとどまり、総入学定員の49万5162人に対して949人下回った。これは1999年の調査開始以来、初めてのことだという。

 一つは「受験生数の減少」だ。高校卒業者数は101万6475人と前年比2・6%減、今年の入試では浪人生が2割減と大きく減少した。今年の入試はセンター試験が大学入試共通テストに切り替わるなどの改革が行われたため、昨年のうちにどこかの大学に入学し、浪人を選ばなかった人が多かったようだ。さらに、新型コロナウイルスの世界的流行の影響による留学生の減少も大きく影響したとみられる。

 地域別にみても、定員充足率は3大都市圏(東京、大阪、中部近郊)が100・56%だったのに対し、それ以外は97・3%。地方での少子化が進んでいることが影響している。このような状況を受け、今年の一般選抜志願者数は国公立大が42万5415人と昨年から3・2%減、私立大は383万4862人と戦後最大の12・3%減だった。

 もう一つの理由は、コロナ禍における「地元志向の高まり」である。もともと、どこの地域でも地元志向は強い。特に保護者は、子どもを手元に置いておきたいと考える人が少なくない。これに拍車をかけたのが新型コロナで、受験生自身も感染が拡大している大都市圏の大学への進学を敬遠する結果となった(表1)。

 一般選抜の合格者の内訳でみると、首都圏では大半の大学で昨年に比べて地元出身者の占有率が上がり、地方からが減っている。地元占有率が下がった大手大学は東京大学と東京工業大学だけで、早稲田大学や慶応義塾大学を含め、他大学では「関東ローカル化」が進んだ(表2)。

 特に国公立大ではお茶の水女子大学(東京)が昨年の51・4%から59%に上がり、同様に電気通信大学(東京)が55・9%から61%へ、東京農工大学が65・9%から71%など、私立大より上がり幅が大きい。やはり、地方出身者が地元と首都圏で志望校を選択する際、地元を選んだ受験生が多かったということだろう。

横国は欠員補充

 各大学も入試での新型コロナ対応を迫られ、試験場では受験生のマスク着用、寒い中での科目ごとの換気などがこまめに行われた。2月入試で新型コロナに感染したり濃厚接触者になって受験できなくなった場合は、入試時期を3月にずらしたり追試を実施した。

 入試そのものを変えた大学もあった。横浜国立大学は早くから共通テストの成績だけで合否を決め、大学独自試験を実施しないと発表。感染が拡大する入試直前の1月にも宇都宮大学(栃木)、山口東京理科大学(山口)が同様の発表を行った。また、東京外国語大学は試験時間を短縮し、午後から実施している。

 しかし、結果はというと、いずれも志願者を減らすことになった。共通テストの成績のみで合否判定すれば、当然ながら大学独自試験で逆転合格する可能性がなくなる。特に横浜国立大学は44・7%も志願者が減っただけでなく、理工学部では入学者も激減し、3月末に80人という異例の多さで欠員補充2次募集を実施した。入学者確保がいかに大変だったかが分かる一幕だろう。

 一方、私立大は大学入試改革に合わせて、入試の形態を変える大学が多かった。

 これまでセンター試験に参加していなかった上智大学と学習院大学は、共通テストへと変わって初めて参加した。早稲田大学の政治経済、国際教養、スポーツ科学の3学部は、共通テストを…

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