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週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断

都心中古マンション在庫増加で価格上昇傾向に変調か=長嶋修

住宅減税縮小でも需要は堅調/123

 2021年10月に首都圏で発売された新築マンションの平均価格は1戸当たり6750万円で、バブル期の1990年を超え過去最高となったことが話題となった。

 しかし、昨今の新築マンション市場とバブル期を比較するのは、いろいろな意味で無理がある。現在と当時とでは、市場の構造が全く異なるからだ。

 まず、平均価格の内訳を見ると、東京23区が8455万円に対し、千葉県は4288万円と2倍近い開きがある。12年の民主党から自民党への政権交代以降、ほぼ一本調子の上昇を続けてきた不動産市場だが、東京都心3区(千代田・中央・港)がこの間2倍程度上昇したのに対し、神奈川、埼玉、千葉3県は1・4~1・5倍程度に過ぎない。

 また、そもそも供給戸数も激減した。新築マンション発売戸数のピークは00年代前半で、首都圏では9万戸近い供給があったのに対し、現在はせいぜい2万戸台で3分の1以下に落ち込んでいる。売り上げ規模でいうと約3・6兆円から1・6兆円程度にまでしぼんだ。

 この少ない供給数の中で、その内訳は「都心・都市部」「大規模」「タワー」「駅前・駅近」といったワードに代表される高額物件が主流となり、逆に割安な立地の供給がほぼ姿を消している。

価格上昇傾向に変調も

 バブル期との比較が最もナンセンスだと思うのは「金利水準」だ。現在の住宅ローン金利は、固定金利で1%台前半、変動金利なら0・3%程度。仮に1億円を変動金利、期間35年で借りると毎月の支払いは25万円程度になる。

 一方、90年当時の住宅ローン金利は7~8%程度。仮に7%で1億円借りると月々の支払いは約64万円。25万円程…

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