マーケット・金融 お金の王道
Q1 実は「ギャンブル」と同じ?! 投資の本質を考えてみた=愛宕伸康
有料記事
「投資」と「ギャンブル」の違いは? お金を投じる目的で考える=愛宕伸康
「投資」と「ギャンブル」は何が違うのか。それを考えるうえで、まず一般的な用語の使い方をおさらいしよう。
『広辞苑』によると、「投資」とは「利益を得る目的で、事業に資金を投下すること」「元本の保全とそれに対する一定の利回りとを目的として貨幣資本を証券(株券および債券)化すること」とある。要するに、企業など特定の対象先に自分の資金を投じ、その企業が生み出す利益や成長の恩恵を享受する行為だ。重要な点はあくまで元本の保全が前提となる。
これに対し、「ギャンブル」とは、「賭けごと」「ばくち」「投機」と記述している。賭けごととは「金品を賭けてする勝負事」であり、ばくちは「一か八かのまぐれ当たりをねらう行為」、投機は「損失の危険を冒しながら大きな利益をねらってする行為」「市価の変動を予想して、その差益を得るために行う売買取引」である。
ここで優先されるのは、元本の保全ではなく、短期的な収益性や射幸心、つまり他人よりラッキーでありたいという心理や、それを満たしたときの喜びだ。従って、ギャンブルには中毒性や依存性、そして自己破産といった大きなリスクが付きまとう。「投資」と「ギャンブル」の違いを考えることは、資金運用する際に「目的を明確にすることがいかに重要か」を再認識することでもある。
結局は「程度の問題」
とはいえ、これらを完全に峻別(しゅんべつ)するのは難しい。投資にも元本割れなどのリスクはつきものであるし、投資先の株価が急上昇すると射幸心だってくすぐられる。市場は、有価証券の短期売買でさや取りを狙う行為を投機と呼び、胴元が寺…
残り603文字(全文1303文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める