新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

法務・税務 税理士・会計士

監査法人「ビッグ4」が中小型銘柄の監査から足抜け、大手企業は順繰りで引き受け=伊藤歩

会計士 中堅上場企業の監査から大手監査法人の撤退加速=伊藤歩

4大監査法人(トーマツ、あずさ、EY新日本、PwCあらた)の監査先の中で中堅規模の上場企業を減らす動きが加速している。特に、元々監査先数が少ないあらたを除く3大法人で顕著だ。

 公認会計士の人手不足が深刻化する中、3大法人が監査先の選別を始めたのは今から4年ほど前。最近は、多額の監査報酬を取れず効率が悪い、いわゆる中小型銘柄に分類される上場企業からの撤退が目立つ。日本が世界に誇る、ニッチな市場で活躍する隠れた優良銘柄も例外ではない。

 表は、上場企業が公表した監査法人交代のリリースを基に、4大法人が、一定期間内に減らした監査先数と獲得した監査先数を集計したものだ。誌面の都合上、個別銘柄の掲載は見送ったが、大半が比較的規模が小さい上場企業、いわゆる中小型銘柄だ。

交代は過去最高水準

 2018年4月~19年3月の1年間で、4大法人が喪失した監査先数は74社。翌年も75社とほぼ横ばいだったが、20年4月~21年3月の1年間は101社に急増。そして、年度途中ではあるが、21年4~12月の9カ月では122社にはね上がった。

 中小型銘柄からの撤退で先行したのはトーマツだが、最近は新日本の加速ぶりが目立つ。18年4月~19年3月は23社、19年4月~20年3月は22社だったが、20年4月~21年3月に33社に急増。21年4~12月までの9カ月間だけで57社。年度途中ながら既に前年比1・7倍増で、このペースでいけば1年間では前年の2倍を超える。

 図1は、20年4月~21年12月の1年9カ月の間に、4大法人が手放した監査先を、その後どこが獲得したかを集計したものだ。

 結果は、別の4大法人が獲得したケースは一部に過ぎず、準大手(太陽、東陽、仰星、PwC京都、三優)、中堅(年商5億円以上)、小規模(年商5億円未満)が受け皿だったことが分かる。…

残り1379文字(全文2179文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事