商品価格は利上げ後は上昇する傾向、金は年末2000㌦の可能性=小菅努
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金 利上げ後は上昇する傾向 年末2000ドルの可能性=小菅努
金は金利動向に敏感な資産だ。発行者の存在しない代償として、利子や配当といったインカムゲイン(定期収入)が発生せず、金利上昇は金投資・保有コストの増大を意味するためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを見据えて、すでに短期金利を中心に金利水準は切り上がり始めている。教科書的に考えれば、金利上昇とインフレ抑制が進めば、金市場からは投機マネーが流出することになる。
しかし、過去のデータを見てみると、利上げ局面の金価格は逆に上昇する傾向がみられる。1994年2月、2004年6月、15年12月の過去3回の初回利上げ前後で、金価格の平均パフォーマンスを見てみよう。利上げ前3カ月は5.7%安、6カ月は7.7%安、12カ月は2.6%安となっているのに対して、利上げ後3カ月は11.6%高、6カ月は14%高、12カ月は9.1%高となっている(図)。
ここからは、初回利上げに向けて金価格は下落する一方、利上げのサイクルに入った後は逆に上昇する傾向が認められる。前回15年12月の初回利上げ時は、金価格も同時に底打ちしている。これは、FRBが利上げ開始前に市場との対話を重視する傾向が強くなっているため、利上げ開始時点ではすでにその後の利上げの方向性が織り込まれている状態になっている影響が大きい。
ニューヨーク金先物価格は昨年、インフレが顕在化する中で1トロイオンス=1800ドル前後の推移が続いていた。インフレは本来、金価格の押し上げ要因となるはずが、その上値が抑えられていたのは、今年の利上げがすでに織り込まれていたと考えられる。実際に利…
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週刊エコノミスト
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