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《オンライン先行特集》「入札制度見直しを政府に要請する」 風力発電協会・加藤代表理事

千葉・銚子沖で東京電力リニューアブルパワーが開発を進める洋上風力発電所=同社提供
千葉・銚子沖で東京電力リニューアブルパワーが開発を進める洋上風力発電所=同社提供

 EV(電気自動車)の普及で失わる自動車産業の雇用の受け皿を作らないと日本のモノづくりは消えていく。この危機感が洋上風力発電という新しい産業勃興の狙いだった。官民は一体となって、まずは確実な需要が発生するという安心感を産業界に与え、参入や設備投資を促す。

 国は2030年に原発10基分に相当する合計出力10ギガ㍗、40年には最大45基という計画を提示し、東北の日本海側を中心に全国で18のプロジェクトが浮上した。その第一弾となる秋田県2海域と千葉県銚子沖の計3海域の入札が行われ、21年12月に開発・運営を担う企業に三菱商事グループが選ばれた。

 しかし、落札した価格は上限20円の半値から3分の1。産業界が期待した商談規模が一気に半分以下にしぼんだ。洋上風力を当てにしていた建設、エンジニアリング、部品会社などは、「これでは利益が見込める価格で仕事を受注できるとは思えない」と早くも参入に慎重な姿勢を見せるところも出始めた。

 洋上風力官民協議会の委員で、日本風力発電協会の加藤仁代表理事に、日本初となった洋上風力発電の衝撃的な入札結果と今後の対応策を聞いた。(聞き手=金山隆一・編集部) >>>「洋上風力 価格破壊」特集はこちら

――洋上風力の入札第一弾となる秋田県沖と千葉県沖の3海域の入札で、上限FIT(固定価格買取)価格29円を大きく下回る価格で三菱商事グループが3件すべてを落札した。応札した企業も関連業界も地元も驚いている(表参照)。

加藤 すごい価格が出た。三菱商事は赤字覚悟の見積りはしていないと思うが、結果がどうなるかはわからない。プロジェクトを取りまとめる力のある大企業(総合商社)なら、あの価格で採算がとれるのかもしれないが、本当に洋上風力官民協議会の目的と合っていたのか。再エネ海域利用法の入札制度に問題はなかったか、結果的に価格が安ければ決まる入札の仕組みにもっと早く気付くべきだった。

――洋上風力官民協議会のそもそもの狙いとは。

加藤 洋上風力という新しい産業を官民一体となって作り上げるのが目的だ。協議会では2030年までに合計出力10ギガ㍗(1000万㌔㍗)の目標を立て、産業基盤と人材育成を進め、海外から工場も誘致し、30~35年にはキロワット時の発電コストで8、9円の達成を目標とした。さらに2040年までに30~45ギガ㍗を整備し、運転や保守サービスなども含め国内調達率…

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