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4月スタート「マンション管理適正評価制度」で最高ランクを取得する秘訣とは=はるぶー

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管理業協会の「評価制度」 高得点取得の難易度が大幅アップ 「採点マニュアル」を活用せよ=はるぶー

高得点取得の難易度が大幅アップ 「採点マニュアル」を活用せよ

 今年4月1日から始まったマンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」(以下「評価制度」)は、マンションの管理体制や管理組合の収支など、五つのカテゴリーでマンション管理の状況を100点満点で評価し、0~5の星(等級)で評価する制度だ。この評価を管理業協会の「マンション管理適正評価サイト」で公表し、マンションの市場価値の向上につなげることが大きな特徴だ。

 筆者は会員数約200人と日本最大級のマンション管理組合理事によるフォーラム「RJC48」の代表を務め、勉強会や交流会などをしている。「マンションは管理を買え」と言われて久しいが、管理の良しあしを客観的な評価で市場価値に結び付ける方法は今までなかった。「評価制度」によって星の数が不動産取引サイトに掲載され、市場価値にも反映されるようになれば、管理組合にとってメリットが大きいと考えている。

 マンション管理の状況を評価する制度としては、2015年7月から日本マンション管理士会連合会が「マンション管理適正化診断サービス」を実施しており、管理状況を3段階で評価することで管理の質の向上に役立てることを目的としている。今年4月からは国の「マンション管理計画認定制度」(以下「認定制度」)も始まったが、5年ごとの更新のため日々の管理の質向上の努力が反映されづらい。

 ただ、「認定制度」で合格したマンションには、住宅金融支援機構の長期固定金利住宅ローン「フラット35」で今年4月から、当初5年間は金利が0・25%引き下げられることになり、管理の差に初めて万人の認める価値が付いた。また、「評価制度」と併せてそれぞれ性格の異なる三つの制度が併存することになるが、管理組合にとっては管理会社経由で三つの制度とも申請でき、その意味では管理組合の負担は軽減されている。

「認定」の取りこぼし厳禁

「評価制度」を利用するにはまず、管理組合が総会で決議したうえで管理会社に登録を申請する。その後、管理業協会指定の講習を修了した管理会社のマンション管理士などが、管理状態を評価したうえで、管理業協会に評価結果を登録。管理業協会はその結果を公開する。有効期間は1年間で、登録料5500円に管理会社などが定める評価・申請手数料がかかる。

 ただし、「評価制度」で最高評価である五つ星(90点以上)を取るのは、そう簡単な話ではない。評価制度はそもそも、「管理体制」「建築・設備」「管理組合収支」「耐震診断」「生活関連」の大きく五つのカテゴリーに10~40点が配点され、各カテゴリーはさらに細かく評価項目が分かれる(表)。そして、この評価の仕組みは「認定制度」に準拠する形となっている。

 つまり、「評価制度」で高ランクを獲得しつつ、「認定制度」の合格も得るためには、国の基準の17項目を一つも取りこぼさないことが大前提となる。

 例えば、「評価制度」では管理規約の改正状況の項目で八つのチェックポイントがあるが、災害時の意思決定方法など国土交通省が定める最新のマンション標準管理規約への適合状況を見ている。そのため、多くの組合が管理規約を最新のものに作り替える必要があるだろう。

 また、「評価制度」では「管理組合収支」への配点割合が40%と非常に大きい。特に、修繕積立金の徴収については、国交省が昨年9月に改定した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で示した目安の額に収まっていることがほぼ必須の条件となる。加えて、将来に一時的に積立金の徴収を予定していれば、そもそも「認定制度」で不合格となるため、一時金を徴収しない積み立て方式へ移行しなければならない。

最重要は長期修繕計画

 評価項目で最重要といえるのが長期修繕計画だ。36ページの図は「長期修繕計画の有無」と「修繕積立金会計収支」の配点の仕組みを示したものである。「長期修繕計画の有無」(配点10点)は「作成」と「計画内容」に分かれ、それぞれ5点が配点されている。一方、「修繕積立金会計収支」(配点12点)は「積み立て方式」「収支計画」「現行の徴収額」に分かれ、その状況に応じて配点が決まっている。

 ここで注意したいのは、この「長期修繕計画の有無」の評価が「修繕積立金会計収支」の評価にも影響を及ぼすことだ。例えば、これらの評価項目をパーフェクトにクリアすると22点を得られるが、「作成」をクリアしたとしても「計画内容」で「一時金の徴収を予定していない」以…

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