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《相続&登記》実際はどうやる? 注意点や費用を解説します=村山澄江

固定資産税課税通知が届いているからといって安心できない
固定資産税課税通知が届いているからといって安心できない

まずは登記簿の名義確認を ねずみ算式に増える相続人

 2024年4月1日に相続登記が義務化される。祖父母や親の代から同じ家に住んで、相続登記が済んでいないケースもあるだろう。では、これから相続登記手続きを進めるにはどうしたらよいのだろうか。次のような想定ケースで考えてみたい。

法定相続情報一覧図

 ◆想定ケース

 父母の代から住んでいる家に、長男Aが妻と住んでいる。父母が死去後は毎年、A宛てに固定資産税課税通知が来ている。

 注意しなければならないのは、固定資産税課税通知が到達していたとしても、相続登記が済んでいるわけではないことだ。相続や売買などで土地・建物の所有者が移った場合、市町村(東京23区は東京都)は原則として、登記を管理する法務局からの通知により新たな所有者を「固定資産課税台帳」に登録し、課税通知を送る。

 しかし、現状では相続登記は義務ではないため、登記簿の所有者は死去した人物のまま、子どもが現住していることは珍しくない。実務上、市町村が実態に合った課税をするために現況調査をして、現住する子どもらに固定資産税課税通知を送付しているケースがあるからだ。

 相続登記を済ませたか記憶があいまいな場合、登記簿を取得して名義が誰になっているかを確認することをお勧めしたい。

 相続登記未了の不動産がある場合はどうするべきか。長男Aを名義人として登記する場合を考えてみたい。一般的に必要なものは、被相続人(死去した人)の出生から死去するまでをたどれる戸籍謄本、住民票の除票(最後の住所が分かるもの)、相続人全員の戸籍謄・抄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、その不動産を相続する人の住民票だ。

 一口に「戸籍謄本」といっても、本籍地を移したり、結婚・離婚、戸籍の電子化など制度改正を経れば、それだけ枚数がかさむ。被相続人・相続人の戸籍謄本の束を登記申請時に提出するのもわずらわしい。被相続人・相続人の関係性を1枚にまとめた「法定相続情報一覧図」(図1)を活用するのも一手だ。法定相続情報一覧図を提出することで、被相続人・相続人の戸籍謄本の束を出さなくて済む。一覧図は、相続税申告や被相続人の預貯金の払い戻し手続きなどにも利用できる。

何世代にもわたるケース

 法定相続情報一覧図の申請手続きは、次の3ステップだ。

 (1)被相続人の出生から死去までの戸籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人全員の戸…

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