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《相続&登記》お勧めは自筆証書遺言 保管料3900円で効果絶大=飽津史隆

パソコンで作成した遺言書もOKに
パソコンで作成した遺言書もOKに

 遺言があれば遺産分割協議はまず必要ない。そのため、自ら遺言を作るだけでなく、親にも遺言を書くよう勧めることが望ましい。民法では合計7種類の遺言の方式を定めているが、遺言者の真意を明らかにし、紛争と混乱を避けるため、この7種類の方式に従わない遺言は無効とされる。本稿では、実務上用いられる頻度の高い、公正証書遺言及び自筆証書遺言について説明する。

 公正証書遺言は、国民の権利保護と私的紛争の予防の実現を使命とする「公証人」によって作成される遺言であり、改変のおそれは絶対にない。金銭消費貸借契約書など一般の公正証書は、公証人が仕事をしている公証人役場で作成されなければならないが、公正証書遺言については、公証人を自宅や病院などに呼んで作成してもらえる。

公正証書は証人必要

 一方、作成まで複数回の公証人との打ち合わせが必要▽作成に当たって2人の証人が必要といったデメリットも指摘されている。

 そのようなデメリットを回避できるのが、自筆証書遺言である。自筆証書遺言は、遺言の全文、日付及び氏名を自署し、これに実印を押すことによって成立する。

 ポイントは遺言の全文を自署することで、遺言者の真意を担保するということにあるが、財産が多岐にわたる場合、その全てを自署で目録(財産目録)にするのは極めて煩雑だ。さらに、自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所に申し出た上、裁判官が自筆証書遺言の中身を確認する「検認」という面倒な手続きが必要だ。

 また、実務的にも共同相続人の間で、被相続人(死去した人)が自筆証書遺言を作成していないと考えたり、自筆証書遺言があると分かっていながら自筆証書遺言が発見されないまま遺産分割協議を実施し、法定相続分で相続手続きを終えた後に自筆証書遺言が発見され、被相続人が生前に思い描いていた内容と異なる相続が行われるという例も散見されてきた。

 以上の課題があった自筆証書遺言だが、近年、改善が図られてきた。まず、自筆証書遺言の財産目録の問題については、2019年1月から、自署によらなくても、パソコンなどで作成した書面を添付し、その目録の全ての用紙に署名及び実印を押せば、自筆証書遺言…

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