《まだまだ伸びる半導体》タカトリなど躍進! 実は強かった半導体関連日本株=阿部哲太郎
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日・米銘柄パフォーマンス
半導体銘柄の指標であるSOX指数は年初から調整に入っているが、日本株を中心にSOXを上回る成長を見せる銘柄がある。
割安な日本株に見直し買い=阿部哲太郎
主要な半導体関連株で構成される米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は昨年末時点から今年6月3日まで23%下落した。世界的なインフレ進行による金融引き締めへの懸念やロシアのウクライナ侵攻による景気への不透明感が背景となっている。昨年に大きく上昇したグロース(成長)株買いの反動もあり、同期間の下落率は日経平均株価の4%、ニューヨークダウ工業株30種平均(NYダウ)の10%を上回り、グロース株の比率の高いナスダック総合株価指数の24%と同程度の調整となった。
もっとも5月中旬以降は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めに対する過度な警戒も後退し、インフレ関連の経済指標もややピークアウト感が見られる。決算シーズンが一巡し、好業績銘柄を筆頭に買い戻しの動きとなっている。
表はSOX指数をベンチマークとし、この期間の日米の主要な半導体関連株の騰落率をランキングにした。パフォーマンス上位は中小型の日本の半導体株が占める結果となった。タカトリ、シンフォニアテクノロジー、ルネサスエレクトロニクスなど省エネをつかさどるパワー半導体に関連する銘柄も上位となった。
このほか、半導体の露光装置を手がけるニコン、キヤノンは円安も追い風となった。これらの銘柄は昨年まで出遅れかつ低PER(株価収益率)だったものが多く、米株が調整する中、割安な日本株の見直し買いが下支えとなった。
エヌビディアなど下位に
パワーやアナログなど車載、産業向けの半導体はこれまで低収益であったことから足元の需要増に各社とも生産設備が足りていない。脱炭素の本格化や自動車の電動化が加速する中、供給不足もあり、設備増強を急いでいるものの当面は自動車の生産回復もあり、数量増や価格上昇による売り上げ増加の局面が続きそうだ。
パフォーマンス下位は米エヌビディア、マーベル・テクノロジーなどのSOX指数の構成銘柄、日本ではレーザーテック、イ…
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週刊エコノミスト
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