マーケット・金融

圏内に重債務国抱え、欧州中銀の利上げは控えめに?=土田陽介

欧州中央銀行

7月に0.25%の利上げ予告も物価と重債務国のジレンマ直面=土田陽介

 欧州中央銀行(ECB)は6月9日に開催した定例の政策理事会で、国債などを買い入れる資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了するとともに、7月21日に開催される次回の理事会で0.25%の利上げを行うと決定した。ラガルド総裁が理事会に先立つ5月23日、ECBのウェブサイトに掲載した「ユーロ圏の金融政策正常化」というエッセーですでに示した方針を踏襲した形だ。

 直近5月のユーロ圏の消費者物価は、総合ベースで前年同月比8.1%上昇と、過去最高を記録した。その主因は、ロシアがウクライナに侵攻する前から続くエネルギー高の影響にある。ただ、エネルギーと食品を除くコアベースでも同3.8%上昇と、ECBの物価目標(2%)を上回る。新型コロナウイルス禍の収束に伴う繰り越し需要に加えて、半導体などの世界的な供給不足がインフレの加速につながっている。

 こうしたインフレの加速を受けて、ユーロ圏の長期金利(10年国債利回り)も年明け以降、急ピッチで上昇してきた。欧州で最も信用力が高いドイツの長期金利は年明けマイナス0.3%程度だったのが、直近は1.5%近くまで上昇している。また、イタリアやギリシャなど重債務国はそれ以上のペースで上昇しており、ドイツとの利回り格差は2020年3月以来の広がり(現在2.5ポイント前後)となっている。

円安・ユーロ高へ

 19カ国から構成されるユーロ圏の金融政策を担うECBは、これまでも物価と金融の安定の両立という難しいかじ取りを迫られてきた。インフレの抑制を重視して金利の引き上げを優先すれば、長期金利の上昇に弾みがついて重債務国の金利負担が増し、金融が不安定化するリスクが大きくなる。一方で、金融…

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週刊エコノミスト

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