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週刊エコノミスト Online 止まらないインフレ 資源ショック

資源問題をお金で解決できる時代は終わった=五十嵐雅之

次世代エネ一本足は不安定

 資源問題はマネーだけで解決できない時代に入った。

鍵は「石炭火力」の活用=五十嵐雅之

 世界情勢が落ち着いていた2020年前後は、「一般炭(発電用石炭)」権益取得の好機だった。一般炭は、地政学的な観点(世界各地に賦存)と新興国の経済成長に不可欠な資源(世界石炭発電の約8割が非OECD国)だ。ここ数年、SDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・企業統治)の社会的要請が強まり、商社や資源会社は石炭権益を相次いで売却。極端な買い手市場だったからこそ、筆者はあえて逆張り的な主張をしていた。

 くしくも、ウクライナ紛争で地政学的な懸念が浮き彫りになり、一般炭のスポット価格(長期契約でなく1回ごとに行う売買取引の際の価格)は1年間で2〜3倍まで跳ね上がった(図)。20年に石炭資産見直し方針を打ち出していた英豪資源大手BHPですら、22年6月に豪州一般炭事業の売却中止を発表した。

 一方、総合商社各社は、資源高を背景に過去最高益を更新。特需で得た巨額利益を原資に、脱炭素・デジタル関連に従来通り重点投資していくようだ。

 しかし、激動期に入った資源ビジネスで、商社が50年のカーボンニュートラル実現を旗印に、従来発想の単線的な戦略で臨むのは危険ではないか。ここでいう「単線的な発想」とはすなわち、在来型資源を縮小させ、再エネ・水素など次世代エネルギーを断続的に増やしていく考え方である。

 例えば今年、新中期経営計画を発表した2社、三菱商事はEX(脱炭素ソリューション)とDX(リアルとデジタルの融合)を主軸に、丸紅は「グリーンのトップランナー」を目指し、従来通りの王道的な戦略に突き進もうとしている。長期ビジョンとしては正しいベクトルだが、激変期に入った向こう3カ年の経営計画としてはどうだろうか。

 なぜなら、資源問題をお金で解決できる時代が終わりを告げたからだ。今春、日本で電力逼迫(ひっぱく)警報が出され停電発生リスクが高まったことは記憶に新しい。原発再稼働方針を政府が決めきれないことに加え、環境負荷が高い火力発電を廃止し続けたツケが、確実に回ってきている。例外扱いだっ…

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