経済・企業

いま仕込み時の長期保有向き米国銘柄2 アマゾン・ドット・コム=岡元兵八郎

アマゾンはすでに全米4位の配送業者 Bloomberg
アマゾンはすでに全米4位の配送業者 Bloomberg

  長期保有に向く米国株の中でも“今が仕込み時”の注目銘柄を二つピックアップする。二つ目は潤沢な現金を次の投資に振り向ける銘柄の代表として米アマゾン・ドット・コムだ。

配送の自動化に積極投資 医療サービス買収で多角化

 米アマゾン・ドット・コムのすごさは、そのイノベーション(技術革新)力にある。研究開発費は1社で年間6.1兆円と、日本企業トップ10社の合計を上回る。利益率の非常に高いクラウドサービス事業「AWS」から生まれた潤沢な現金を使って小売事業に投資し、これが競争力を高める好循環を生んでいる。

 アマゾンは国土の広大な米国で「翌日配達」を実現するため、全米に配送センターを建設し、自前で航空会社を保有している。新型コロナウイルス禍の過去2年間で、配送センターの規模を2倍に増強した。アマゾンは今や全米で4番目の配送業者だ。

 米小売り全体に占めるオンラインショッピングの割合は、2022年第1四半期(1~3月)で14%で、30年にはこの割合が33%になると予想されている。アマゾンはこの分野でシェア4割弱と2位のウォルマート(約5%)を引き離し、圧倒的な1位だ。ウォルマートに匹敵する配送インフラを築いたことで、今後もこの地位を維持すると見込まれている。

オンライン広告も強化

 配送で一番費用が掛かるのが、「ラストワンマイル」といわれる配送センターから顧客の自宅までの区間だ。アマゾンはこのコストを削減するためにさまざまなイノベーションを導入している。その一つは、医薬品など重さに比べて値段が高い商品のドローンによる配送だ。人間が配送すると5ドル掛かるところを、ドローンなら1ドル以下で配送できる。タイヤのついた自動配送ロボットも顧客の自宅までの配送に実際に使っている。

 新しい取り組みとしてオンライン広告を強化している。オンライン広告は営業利益率が4割と収益性が高く、グローバルな市場規模も17年…

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週刊エコノミスト

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