「高速道路の充電渋滞は2年以内に解消する」 姉川尚史氏に聞く
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日本のEVの充電インフラはどうなるのか。EVの急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」を開発し、充電インフラの整備を進めてきたパイオニアのCHAdeMO協議会会長でイーモビリティパワー会長、姉川尚史氏に話を聞いた。(聞き手=稲留正英・編集部)
── 航続距離の短いEVに対して、消費者は不安がある。
■多くの人が「EVはガソリン車と同じように走りますか?」と聞く。それに対し、「同じようには走らない。しかし、あなたが使う分には何の不自由も生じない」と答えている。EVの最大の売りは、家で充電できることだ。今、平均的な日本人は1日20キロも走らない。私の場合は1日50キロ程度走るが、自宅で3時間も充電すれば十分だ。
ところが、週末の家族旅行や盆や正月の実家への帰省で、年に何回か800キロを走る場面が出てくる。だが、800キロを走るためのバッテリーを積むと、とても高価なEVになり、永遠に普及しない。そこで、家の外で「息継ぎ」のため充電する公共の充電インフラの出番となる。
── 欧州や中国並み(約2割)にEVが普及すると、全国の高速道路で「充電渋滞」が起きることが心配されている。
■国は2030年時点のEVの普及台数を250万~300万台と見込んでいる。現在、急速充電器は全国に8000台弱あるが、国は今、30年までにこれを3倍強にしようとしている。私は、EV100台に急速充電器が1台あれば足りると考えている。
充電待ちが生じているのは首都圏や関西などの大都市圏だけの現象だ。首都圏でいえば、東名高速の海老名SA(サービスエリア)、中央高速の談合坂SA、常磐道の守谷SAなどだ。そのため、渋滞しそうな高速道路の充電スポットには、傾斜配分で集中的に配置し、充実させる計画だ。少なくとも首都圏は2年以内に充電待ちを解消したい。
── 首都高速の大黒PA(パーキングエリア)では昨年12月にEVを6台同時に…
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週刊エコノミスト
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