「マンション管理が低評価=悪い」とは限らない 現地調査で価値ある物件を見抜け! 横山顕吾
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「マンション管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」の新制度二つは不動産投資でも分かりやすい指標になるが、制度で分からない部分にどう気づくかが投資家の腕の見せどころになる。
変わるマンション投資
今年4月にスタートした「マンション管理計画認定制度」(管理計画制度)と「マンション管理適正評価制度」(適正評価制度)は、認定を受けたか、星の数はどうなのか、といったところを見れば、不動産投資家であろうと一般人であろうと、マンション管理の評価が一目瞭然となる。
これらの制度が広く知られるようになれば、管理計画制度で「認定」、適正評価制度で五つ星を取ったマンションは、売り値が上がる可能性が高まるだろう。管理が良いことの証明になるので、安心感が増し、価格も上昇しやすくなる。ただ、筆者は、評価項目ごとに価格への反映の重要度は変わると考えている(表1)。たとえば、ある分譲マンションが管理計画制度と適正評価制度の二つを受けているとする。これらの結果を総合した場合の筆者なりの評価を表2に示した。
制度の限界を知る
ただ、真にマンション投資を考える際は制度だけにとらわれない、違った目線も必要となる。
二つの制度が何を目的にしているかを今一度考えると、「マンションを長持ちさせるため」であり、言い換えると「マンションがしっかりしている状態を維持継続するため」である。したがって、適正評価制度で五つ星の評価を受けていても、建物の造り自体に欠陥があればまったく意味がない。
また、二つの制度では「長期修繕計画」がしっかりと作られているかが、評価の大きなウエートを占める。
確かに、きちんとした長期修繕計画があるに越したことはない。だが、仮に長期修繕計画がなくても、定期的に住人でマンションの見回りを行い、劣化前に気づいてその都度、現場で判断して修繕しているほうが、書類の計画に従う修繕より良好な状態を維持できるし、費用も安くつく。
つまり、管理計画制度と適正評価制度はすばらしい制度ではあるが、これらだけでマンション管理の良いところのすべてが見えるわけではないのだ。
二つの制度は、画一的にマンションを評価し…
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週刊エコノミスト
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