投資・運用

漏水・騒音・悪口「マンションあるある」な紛争事例 桑田英隆

避難の妨げになるものを置いてはいけない
避難の妨げになるものを置いてはいけない

 マンションの住人同士、または住人と管理組合の間でよく起きるトラブルを紹介する。

この漏水、いったい誰の責任?

 筆者が相談を受けるトラブルの中で、多いものの一つが「漏水問題」だ。「天井の点検口や照明の縁から急に水が落ちてきた」「洗濯機の排水口から汚水が逆流した」など、漏水の被害はよくある。

 漏水のうち、排水管の老朽化による破損の場合、どこから漏れているのかをまず調査する。ただ、漏水箇所が分かったとしても、それが「共用部分」か「専有部分」かで争われることは少なくない。前者なら管理組合が、後者なら住戸の区分所有者が損害を賠償する責任を負うためだ。

 一般的には、排水管の本管(竪管(たてかん))は共用部分、枝管は専有部分であるとされている。しかし排水管の構造は千差万別であり、単純には区別できない。図はあくまで参考例だが、たとえば、コンクリートスラブ下の排水管は、枝管であっても共用部分と解釈することができる場合もある。あるマンションでは住人と管理組合が裁判で争い、最高裁までいった。裁判所は構造と設置場所を詳細に検討したうえで、枝管であっても共用部分に含まれるとして管理組合が賠償責任を負うことになった。

 このような紛争を回避するには、排水管が専有部分か共用部分か事前に明らかにしておくことが必要である。特に築年数の古いマンションではこのような区別が曖昧な物件も少なくない。そのため、管理規約で区別を詳細に図示しておくことが望ましい。

ベランダは「自分のもの」ではない

 マンションの紛争は、住人の認識の違いから起こるものもある。その代表的な例が、ベランダやバルコニー、専用庭の使い方だ。

 これらの施設は、自宅にあるのだから自由に使っていいと考える人が少なくない。しかし、一般にベランダやバルコニーなどは、住戸の区分所有者に専用使用権が設定されてはいるものの、専有部分には含まれず共用部分とされている。

 ベランダやバルコニーの使用方法については、管理規約や使用細則などによって、さまざまな制限が設けられている。例えばペット飼育可のマンションでは、近隣住戸の住人に異臭や汚損による被害を与えないよう、ペット…

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週刊エコノミスト

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