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米国先制 日本製EVに“補助金なし” 土方細秩子
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カリフォルニア州のガソリン車禁止と米国製EV限定の補助金政策は日本車の排除にも見える。
カリフォルニア州が5年前倒しで脱ガソリン車
米カリフォルニア州は8月25日、従来は2040年からとされていたガソリン車の州内での販売禁止を35年に繰り上げる、と発表した。ガソリン車にはハイブリッド車(HV)も含まれ、プラグインハイブリッド車(PHV)は販売台数全体の2割までが認められる。
もちろん、ガソリン車のオーナーが運転を禁じられるわけではなく、中古車であればガソリン車の販売も認められるから、即座にすべてが電気自動車(EV)になるわけではない。それでも全米の自動車販売台数のおよそ1割を占めるカリフォルニア州の決断は大きなニュースとして伝えられた。
この決断のインパクトは大きい。米国では最も先鋭的な大気汚染防止法を持つカリフォルニア州の法案に追随する州が17もある。これらの州が、今後一斉に同様の法案を可決させる可能性がある。特にニューヨーク、マサチューセッツなどの北東部の州、オレゴン、ワシントンなどの西部の州はほぼ確実に35年からのガソリン車販売禁止に踏み切る、と見られている。
ただし、米メーカーにとっての影響は限定的だ。ゼネラル・モーターズ(GM)は昨年の段階で35年までに米国内で全てのガソリン車モデルの生産を打ち切る、と発表しているし、フォード・モーターやステランティス(欧米フィアット・クライスラーと仏PSAの合弁)も同様だ。
海外メーカーもフォルクスワーゲン(VW)、BMW、メルセデス・ベンツグループの独ビッグ3、スウェーデンのボルボ、英ジャガー・ランドローバー(インドのタタモーターズ傘下)、韓国の現代・起亜自動車グループなどが、米国内で販売する車を30~35年で「ゼロ・エミッション(排気ガスゼロ)」にすると公表している。
そもそも、欧州連合(EU)諸国のほとんどが35年からのガソリン車販売禁止を標榜(ひょうぼう)する中、国として方針を定めていない米国の方が例外的な存在になっている。隣国カナダも35年からのガソリン車販売禁止を発表しているのだ。
米欧の動きはEV化への方向転換で後れを取る日本のメーカーにとっては、逆風となる可能性がある。米国の新車販売における日本車のシェアは35~40%と非常に高い。しかし、EVに限ると、今年前半の実績でベスト10に入っているのは日産自動車の「リーフ」のみ、販売台数は7622台にとどまる(トヨタ自動車の「bZ4X」は232台)。これは米国の全EV販売の2%に過ぎない(図1)。
「インフレ抑制法」の衝撃
さらに日本勢にとってのマイナス要因となるのが、8月16日にバイデン大統領が署名した「インフレ抑制法(気候変動対策法)」の存在だ。総額4300億ドルの法案には、再エネ加速に加え、EV購入者への政府による補助金が含まれている。
もともと米国…
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週刊エコノミスト
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