週刊エコノミスト Online 日本経済総予測2023
家計防衛で減った外食やパン コメ回帰に期待 三浦展
有料記事
コロナ禍を経て日本人の消費行動は大きく変わった。保存の利くコメや根菜が見直される。
>>特集「日本経済総予測2023」はこちら
食料品や電気料金をはじめとする物価上昇によって家計収支が厳しくなっており、2023年の個人消費が大きく増えるとは考えにくい。
もちろん、新型コロナウイルスの感染防止策が22年と同様であれば、旅行や外食に関する支出が多少上向くことはあるかもしれない。その場合でも、人々の行動様式はコロナ禍を経て大きく変わったことを忘れるべきではない。
11月下旬に訪れた京都・先斗町(ぽんとちょう)は夜9時なのに暗く、営業していない店が多かった。旅行者は夜遅くまで騒ごうとは思っていないようだ。「2次会には行かない」「8人を超すような飲み会の誘いは断る」「カラオケをしない」「夜10時には就寝する」といった具合に人々は20年以降、新たな習慣を身につけたことだろう。23年中に新型コロナが完全に消えるとは考えにくい以上、人々の習慣は大きくは変わらない。個人消費が飛躍的に回復することはないだろう。
総務省の「家計調査」の支出額を調べると、新型コロナの感染拡大後、いくつかの特徴が見いだせる。支出が顕著に増えたのは調理食品だ。とりわけコメ、めん類、パン類などを含んだ「主食的調理食品」は21年、19年比10.3%増えた(2人以上の世帯、全国)。外食を避け、弁当、すし、調理済みパンなどの持ち帰りや宅配が増えた傾向を反映している。
そのほかには、コメの支出は長年減り続けてきたが、14年ごろから下げ止まる傾向が見受けられる。コロナ禍では20年に前年より3.9%増えた後、21年に減少した。この間、パンは2年連続で減少している。ウクライナ戦争後、小麦など穀物の価格が急騰したことを考えると、家計防衛の観点では国産で賄えるコメの消費を増やすのは有効な対策となるだろう。100%自給できるコメ、それにニ…
残り667文字(全文1467文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める