EV用パワー半導体に成長期待 23年中盤まで続くメモリー不況 津田建二
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半導体市場は日本勢が強いパワー半導体がEV向け需要を受け、伸びそうだ。
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市場調査会社や半導体の業界団体「世界半導体市場統計」(WSTS)が相次いで発表した見通しによれば、半導体市場は2022年後半から不況期に入り、23年中ごろまで続く。同年後半から再び回復するが、23年通年ではややマイナスという予想が多い。
半導体メーカーの多くは22年4~6月期まで、売上高が前年同期比30~40%も急増する好況にあった。
変調が表面化したのはメモリー半導体大手の米マイクロン・テクノロジーが6月30日、6~8月期の売上高見通しを前四半期比16%減の約72億ドル(約1兆円)に下方修正してからだ(実際には約66億ドル)。9~11月期に前四半期比36%減の42.5億ドルに悪化するとも発表した。韓国のメモリー大手、サムスン電子やSKハイニックスは明確な数字は示していないものの、悪化するという見通しだ。
EV用は成長
一方、ロジック(論理演算機能)半導体は落ち込みが少ない。1、2個しか使わない製品が多く、大きな変動は起きにくい。それでもロジック半導体を製造する半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)は22年後半の見通しを「不透明」と表明し、投資を一部先延ばしした。
23年も成長が期待される分野の一つが自動車用の半導体だ。CASE(接続、自動運転、共有、電動化)のトレンドに沿って成長する自動車の未来は、半導体がカギを握る。電気自動車(EV)には動力源を制御するパワー半導体が欠かせない。
EV用パワー半導体の用途は主に①電力を直流から交流に変換し、モーターを制御す…
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週刊エコノミスト
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