信金のメインバンクシェアが銀行以上の伸び 友田信男
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コロナ禍のゼロゼロ融資により、金融機関は大幅に貸し出しを伸ばした。信金のシェアは大手行に肉薄している。
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新型コロナウイルス禍のさまざまな資金貸し付けや給付金、補助金などの合わせ技が、企業倒産の記録的な低水準を呼び込んだ。中でも2020年3月に始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の資金繰り緩和効果は絶大だった。数次の延長を経て22年9月末で受付が終了したが、元本返済は最長5年、利子は最長3年の猶予期間があり、申請には長蛇の列ができるほどだった。
22年9月末の貸し出し実績は245万件、融資額は43兆円と過去に例をみない規模に膨れたが、副反応として「過剰債務」が新たな問題に浮上している。信金関係者からは、過剰債務で「ゼロゼロ融資の返済開始と同時に、リスケ(返済の繰り延べや借り入れ条件の変更)を要請する企業が増えている」との声も漏れてくる。
また、事業継続をあきらめ、弁護士に債務整理を一任する中小・零細企業も増加基調にある。業績不振が続き、高齢の経営者や事業承継が遅れた経営者が廃業を決断することもある。コロナ禍からの経済活動正常化がすんなりと進まない中、いかに貸出先の経営を改善させるか、金融機関としても真価が問われる時期である。
大阪が取引企業9%増
そうした中で、東京商工リサーチが全国155万3601社を対象に実施した22年の「メインバンク調査」では、各都道府県における信用金庫のメインバンクシェアの伸びが目を引いた。信用金庫のメインバンク企業数は34万1462社で、コロナ禍を挟んだ18〜22年の5年間で3.7%増えた。これは大手行3.0%増、地方銀行2.1%増、第二地銀と信用組合の各1.9%増を大きく上回る。
全国のメインバンクシェアは、地方銀行40.2%、大手行23.4%、信金21.9%、第二地銀9.5%、信組2.1%だった。地元有力企業との取引が多い地銀には及ばないが、信金は大手行に1.5ポイントまで迫り、第二地銀とは2.3倍の開きがある。信金はメガバンクや地方銀行に比べ貸出額は小さいが、コロナ禍で苦境に陥った企業への地道なフォローを反映した結果とみられる。
信用金庫のうち、各都道府県でメインバンクとする企業のシェアが最も高かったのは京都中央信金(京都府)で、金融機関全体でも44位の0.5%(8424社)。京都府のシェ…
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週刊エコノミスト
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