週刊エコノミスト Online編集後記

北條一浩/和田肇

編集部から

 先日、ブックデザインの仕事をしている人と話す機会を得た。話題が最近の紙代の高騰に及んだ時、彼が言った一言が忘れられない。「そもそも今までが安すぎたんです。紙を作るのって大変なんですよ」

 書籍の装丁の際に、あらゆる紙を吟味してきた仕事人ならではの発言である。紙の値上がりは出版界にとって死活問題だが、では今まで自分は紙についてどれだけのことを理解していたのか。紙はパルプから作られるが、パルプは実は木材とは限らないこと。木材にしても、針葉樹の繊維と広葉樹のそれで強さに違いがあること。そして原材料の入手から製紙、流通を経て納品までの過程で、どうやって紙の価格は決まるのか。

 これらのほとんどを自分は理解できていない。物価高が厳しくなってきた今こそ、モノの成立過程と価格の持つ意味について、もっと意識的であるべきだと反省している。

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