経済・企業 賃上げサバイバル
賃上げ・働き方改革で注目すべき20銘柄はこれだ 和島英樹
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賃上げや働き方改革に関連した銘柄が株式市場で物色されるケースが増えてきている。
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重要テーマの一つがリスキリング(学び直し)だ。岸田文雄首相が昨年10月の所信表明演説で、成長産業への労働移動を促すリスキリング支援に5年間で1兆円を投じる計画を打ち出した。経済産業省などによるとリスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得すること」としている。(表の拡大はこちら)
日本では昔からある業態に人材が偏る一方、デジタルなど先端分野の人材不足が指摘されるなど、雇用のミスマッチが問題となっている。旧態依然とした産業では生産性が劣り、結果として賃金が上がらない傾向がある。政府が唱えるリスキリングは就職後に改めてスキルを高めた人材が成長分野に転職するなどして、次の職場で生産性を高めることで賃金が上昇するようなスキームとのイメージだ。岸田首相は演説で「賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革に取り組む」としていた。リスキリングの1兆円パッケージは、こうしたことを促進するために活用されるとみられる。具体的には企業間、産業間の労働移動の円滑化に向けた指針を、今年6月までに取りまとめるなどと報じられている。
リスキリングは海外で活発で、欧州では仕事をやめても生活できるようなセーフティーネット(安全網)があり、労働者はスキルアップに専念できる。シンガポールでは政府の傘下にリスキリングの専門組織を置き、今後伸びる産業や有望なスキルを把握し、労働者に提供している。日本では昨年6月に、経産省やデジタル庁、地方自治体なども推進する形で「日本リスキリングコンソーシアム」が設立された。関連企業としては、民間企業や自治体職員などを対象とした、講師派遣、スキル別研修などを展開しているインソース、リスキリングの教育パッケージを提供するKIYOラーニングなどが該当する。
創業から年4割成長も
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週刊エコノミスト
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