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日銀の国債買い誘発策 今度は「共通担保オペ」の拡充 小玉祐一

 2023年1月17~18日に開催された日銀金融政策決定会合は、金融政策について現状のまま据え置くことが決められた。市場関係者の間では、昨年12月20日の決定会合に続き、日銀が何らかの追加修正を行うとの見方が多かったため、今回の会合直後の為替相場は、大きく円安・ドル高が進み、長期金利は急低下した。

 昨年12月の政策修正の理由は、イールドカーブ(利回り曲線)のゆがみに伴う債券市場の機能低下が、企業金融などにマイナスの影響を与えるというものだった。先進国の中央銀行がこぞって利上げに動き、日本の長期金利にも上昇圧力がかかる中で、10年国債の利回りだけが低くなるという、いびつな形状が常態化していた。昨年12月の会合後、こうした形状は改善するどころか、逆に拍車がかかっている。従って、金融政策のさらなる修正があってもおかしくはなかった。

 ただし、10年国債利回りの変動許容幅を、12月にプラスマイナス0.25%から同0.5%に拡大した後、さらに0.75%に拡大する程度ではさらなる政策変更を見越した国債売りが加速するだけで、逆効果になりかねない。かといって、1%以上への拡大やイールドカーブ・コントロール(YCC)自体の撤廃では、説明責任の維持が難しくなる。現状では、日銀と政府の政策協定(アコード)も、2%の物価目標も有効であり、物価目標が未達という前提に立つ限り、「金融政策は修正したが利上げではない」という説明が成り立たなければならない。

 仮に2カ月連続で金融政策の修正に追い込まれたとなれば、日銀が市場との戦いに敗北したとの印象は拭い難いものになる。黒田東彦日銀総裁としては、自身の任期中の追加的な政策修正は極力回避し、債券市場の不安定化には、オペ上の対応でしのぐ方針を固めたということだろう。

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週刊エコノミスト

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