経済・企業 社会を変える発達障害
インタビュー「シリコンバレーで働く人はみな発達障害という冗談がある」起業家ジェニー・ディアボーン氏
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米国経済の原動力となるIT企業が集積するシリコンバレー。コンピューター教育の起業家ジェニー・ディアボーン氏(52)は文字の読み書きが困難で周囲から理解されない子供だった。特性をどう生かしてきたのか聞いた。(聞き手=岩田太郎)
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── 米国は独創的な発想でビジネスを成功させる人が多い社会だ。あなたはヒューレット・パッカード、サンマイクロシステムズやSAPでの実績を経て、コンピューター教育の分野で起業し成功した。子供時代はどうだったか。
■チャレンジの連続だった。学校に上がると、落ち着いて座っていることができなかったため、教室から追い出された。通学することを許されなかった。高校時代は特別支援学級に入った。両親は私が賢くない子だと思っていた。周りがみな「あなたは頭が悪い」と言うので、私もそれを信じていた。
なんとか高校を卒業した私はコミュニティーカレッジに通い、そこで多動性障害、識字障害、強迫性障害との診断を受けた。同時に、「あなたの知能指数(IQ)や課題処理能力は飛びぬけて優れているが、遂行スピードが遅いだけだ」と知らされた。
その時に初めて、自分が差別を受けてきたのだと分かり、大きな憤りを感じた。「私は成功できると証明してみせる」という強い思いが、生きる動機となったのだ。
── 社会人になってから、発達障害はどのように仕事に役立ったか。
■良い面としては、仕事を遂行する大きなエネルギーや信じられないほどの集中力が仕事の成果につながった。同時に10件ほどのプロジェクトを掛け持ちしながら、次々と短期に完遂することができた。困難な案件であるほど、私の才能が発揮できた。
悪い面は、衝動的で結果を見通せないことだ。忍耐力にも欠けた。たとえば、3年間もかかるプロジェクトはやりたくなかった。1カ月以上のものは退屈になるのだ。
マスク氏の貢献
── イーロン・マス…
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