経済・企業

「賃金は上がる」へ相場観を変えるカギは質を追求するビジネスにあった 山田久

賃上げこそがGDP(国内総生産)の7割を占める個人消費を刺激し、経済を復活させる(東京・上野の百貨店) Bloomberg
賃上げこそがGDP(国内総生産)の7割を占める個人消費を刺激し、経済を復活させる(東京・上野の百貨店) Bloomberg

 足元の物価高は「日本で賃金は上がらない」という20年来の「思い込み」を打破する絶好の機会だ。

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 2023年春闘がスタートするなか、賃上げ機運が近年にない盛り上がりをみせている。政府が経済界に賃上げ要請を行うのは年中行事になったが、今年は経団連や大手企業での前向き姿勢が鮮明である。その背景には、41年ぶりのインフレ率で一般従業員の生活が苦しくなっていることを無視できなくなったことのほか、人材不足が深刻化するなか、今や日本の平均賃金が韓国を下回る(経済協力開発機構〈OECD〉統計)など、低過ぎる賃金の弊害に経営者が気付き始めたこともある。

 もっとも、こうした動きが、長らく低迷を続けてきた日本の賃金の本格的な上昇トレンドへの転換につながるかどうかは予断を許さない。まずはなぜ日本のみ四半世紀もの間、名目賃金がほぼ横ばいで推移してきたかの原因分析から始める必要があろう。

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