躍進する会計事務所は代表が会計士 税理士は地方で存在感 宮口貴志
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都内の大規模な会計事務所の経営トップが公認会計士・税理士である傾向が強まっており、この流れは今後も続きそうだ。
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会計事務所と一口に言うが、経営トップの肩書は「公認会計士・税理士」と「税理士」の二つに分かれる。公認会計士は「会計監査の専門家」。税理士は「税務の専門家」だ。それぞれ法律に定められた独占業務であり、資格を持っていなければ仕事ができない。
それでは、なぜ屋号になると同じ会計事務所になるかというと、屋号には「会計・税務」の両方の専門という意味が込められているためだ。ちなみに、公認会計士は、一定の要件をクリアすれば無試験で税理士になることができ、税理士の独占業務である税務業務を行うことができる。税理士は無試験で公認会計士にはなれない。
近年では、都内の規模の大きい事務所などは、公認会計士・税理士が経営トップである傾向が強い。2002年の士業の規制緩和で、会計事務所が法人化できるようになり、広告規制が事実上撤廃された。そこから士業の自由競争の時代に入り、規模の大きい会計事務所が目立ってきた(表1)。
有名なのが、今の税理士法人山田&パートナーズや東証プライム市場上場企業である山田コンサルティンググループの創業者である故山田淳一郎公認会計士・税理士、辻・本郷税理士法人の創業者で現会長の本郷孔洋(よしひろ)公認会計士・税理士だ。両者ともグループで1000人規模の組織に成長させた。
組織運営にたけた会計士
会計・税務の専門家という点でみると、あまり違いがないように思うかもしれないが、公認会計士・税理士と税理士は仕事の内容や性質など異なる面を持つ。一般的に、税理士の多くは一匹狼(おおかみ)型の実務家が多いが、公認会計士は、監査法人などの勤務時代は大規模な組織で働いてきたことから、組織で動くことを基本に考える。そのため、独立開業すると個人事業主的な経営ではなく、会社組織のような運営を行う。全く現場にタッチしないわけではないが、自分は経営に徹して、実務は別の人に任せていくのだ。
特に法人化できるようになったことで、会計事務所も支店を設けることができるようになり、全国展開しやすくなった。個人事務所の場合は、税理士法で2カ所事務所を持つことができない。
ほぼ同時期に経営トップが公認会計士・税理士で事務所を拡大したのがAGS、みらいコンサルティンググループ、コンパッソ税理士法人、TOMA。それに続く世代では東京コンサルティンググループや東京共同会計事務所、青山綜合会計事務所、エスネットワークス、日本クレアス税理士法人、クリフィックス税理…
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