インタビュー「問題あればインボイス制度修正を」神津信一・日本税理士会連合会会長
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日本税理士会連合会の神津信一会長に、インボイス(適格請求書)制度の導入など税理士業界を巡る課題について聞いた。
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── インボイス制度が10月にスタートする。税理士からも事務負担増を懸念する声が聞かれる。
■制度導入について、当初、日税連は反対していた。現行の「帳簿方式」で十分だと考えていたためだ。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)という社会変革が進む中、このスタンスを見直す必要があると判断し、賛成に回った経緯がある。国には中小の事業者にとって負担の少ない制度にするよう求めていた。
昨年末の与党税制改正大綱では、課税売上高が1億円以下などの中小企業は、課税仕入れにかかる支払いが1万円未満ならインボイスを省略できることになった。我々の働きかけが、負担軽減策導入につながったと考えている。
── 制度導入で事務作業が増すことは税理士事務所のビジネス上、プラスに働くのか。
■仕事が増える分が収入につながるかといわれると、なかなかそれは難しい。ただ、手間ひまがかかる分を価格に転嫁し、値上げを顧客に求めていくことは必要だ。税理士事務所はIT機器の導入費用がかさみ、物価高で水道光熱費も上がっている。一方で、税理士報酬は何十年も前から顧問料は月額3万円が相場とされたままだ。個々の事務所の判断だが、「税理士事務所はこれだけコストがかかる」と顧客に理解してもらい、「3万円」時代は脱しないといけない。
── 制度の課題は?
■導入後でも問題があれば、どんどん修正すべきだ。税制改正大綱で負担軽減策の対象になった中小企業以外は、1万円未満のものもインボイスの保存が必要で、負担は大きい。取引先が仕入れ税額控除ができなくなる免税事業者が、取引から排除されないようにすることも大切だ。3年ごとに控除額を減らすことになっている経過措置も「当分の間認める」と修正するこ…
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週刊エコノミスト
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