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対話型AI「チャットGPT」に対抗する「バード」の誤答でグーグル株急落 土方細秩子
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米IT大手グーグルの親会社アルファベットの大幅な株価の下落が話題になっている。事の起こりは2月8日にグーグルが仏パリで開催した新型の人工知能(AI)を使った自動応答ソフト(チャットボット)「バード(Bard)」の発表会だ。質問に対するバードが出した回答に複数の誤りがあったことが指摘され、アルファベット株は1日で9%以上下落、1000億ドルの損失となった。
米国ではマイクロソフトが100億ドル以上を出資するスタートアップ、OpenAIによるチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」が人気を呼んでいる。正確で迅速、自然な言語が評価され、昨年11月にリリースされて以来利用者が1億人を突破した。
凋落への不安も
一方、グーグルは「風評被害につながる」としてAIの利用には消極的だった。しかしチャットGPTが「いずれ検索エンジンとしてグーグル1強を覆し、グーグルを抜いてトップに立つ」とまでいわれるようになり、グーグルとしてもAI利用のチャットボット開発に乗り出さざるを得なくなったというのが現状だ。
「ググる」という言葉が生まれるほどに世界中で信頼され利用されてきたグーグルの検索エンジンだけに、AIを使ったものはチャットGPTを上回る言語能力、学習能力を持つのでは、と期待されていたのが、思わぬ不備が発覚した形だ。
株価下落の背景にはグーグルが凋落(ちょうらく)するのでは、という市場の不安感…
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週刊エコノミスト
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