主要鉄道17社診断 黒字転換するも株価低調 姫野良太
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コロナ禍を経て、鉄道会社は総じて業績回復に向かいつつある。回復の動きが本格化すれば資本市場も再評価していくだろう。
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新型コロナウイルスの感染拡大から3年が過ぎ、鉄道業界全体でようやく需要回復が見えてきた。2022年10~12月期には鉄道各社は黒字転換を果たした。
コロナ禍では鉄道とホテルの需要の落ち込みが深刻だった。鉄道は、定期収入で回復の頭打ち感がある。関東ではコロナ前の8割、関西や九州では9割まで需要が回復しているが、これ以上は戻らなくなっている。コロナが終息しても週に2日程度は在宅勤務とするなど、フレキシブルな働き方が定着し、定期から定期外にシフトする利用者もいる。定期需要が完全に戻ることは難しいだろう。
一方で、22年10~12月期は定期外収入の需要が回復してきている。定期外では沿線住民の日常利用に加え、観光地を抱えている路線ではインバウンド(訪日客)、JRの新幹線では観光需要に加えビジネス出張需要の伸びしろがどこまであるかがポイントとなる。
また、東急や近鉄グループホールディングスが運賃値上げに踏み切る。値上げを申請する会社は厳しい状況を抱えており、運賃改定はその状況を是正する動きとして、資本市場では評価されている。
ホテルについては、日本人の国内観光に加え、10月から外国人の入国制限が緩和されたことで、11月、12月とインバウンド需要が伸び、各社の業績回復に寄与している。今後は、中国人の入国制限緩和が進んでいくと、中国人のインバウン…
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週刊エコノミスト
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