インタビュー「オフィス賃料の相場頭打ちで売却加速」岩井裕志・いちご投資顧問社長
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Jリート市場の低迷が続いている。不動産投資市況は今後どうなるのか。オフィス、ホテルのリートと太陽光発電所のインフラファンドを運用するいちご投資顧問の岩井裕志社長に聞いた。(聞き手=宮川淳子・証券アナリスト、桑子かつ代・編集部)
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── 東証リート指数が下落基調だ。現物の不動産市場への影響は。
岩井 金利の上昇が東証リート指数の値下がりにつながっている。ただ、現物不動産はさほど価格が下がっていない。購入意欲は強い。当社のいちごオフィスリート投資法人は、2015年10月期以降の取得実績でみるとスポンサーからの物件取得が全体の5割強で、残りの4割強は運用会社が独自に幅広い売り手から買っている。
最近はコロナ前と比べて、オフィスビルの売買案件の情報が入ってくるようになった。以前は案件が少なく、買いづらい状況だった。背景として、オフィスビルの売り主がもうこれ以上賃料や価格は上がらないとみている可能性がある。もしくは、本業事業に専念するための資金に充てるために売却しているケースもあるだろう。
── 運用するオフィスの特徴は。
岩井 当社が運用しているのは、価格が数十億円くらいまでの中規模ビルが中心だ。中規模オフィスは大規模オフィスと比べて賃料単価が半額以下であるため、ポジティブな移転(スペース拡張や好立地への移動)とネガティブな移転(賃料削減や事業の撤退・縮小)の両方の受け入れ先になる。当社のオフィスビルは都心部で利便性が高い好立地にある。22年はテナントの解約が重なり、都内で大きな空室が出た時もあったが、積極的なリーシング活動の効果で稼働率が回復してきている。
── 賃料動向は。
岩井 東京のほか、福岡や名古屋など地方にもオフィスビルがある。いちごオフィスリートは、テナント入れ替えにより賃料単価が上がっている。移転理由もポジティブなものが多いため、安くしないと…
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週刊エコノミスト
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