マーケット・金融 世界金融不安
米銀破綻は2行で止まったが次の懸念はノンバンク 矢作大祐
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3月10日、資産総額2000億ドル(約26兆円)超の米シリコンバレーバンク(SVB)が預金流出に対応できずに債務超過となり、経営破綻した。また同12日に、暗号資産ビジネスに強いシグネチャーバンク(SBNY)が経営破綻し、米銀行セクターの連鎖破綻に対する不安は一層強まった。こうした不安に対して、米政府や連邦準備制度理事会(FRB)、米大手銀行は迅速に対応した。同日中に政府は破綻した両銀行の預金を全額保護すると発表するとともに、FRBは銀行セクターに流動性を供給することで、取り付け騒ぎや資産の投げ売りの発生を防いだ。同16日には破綻懸念が高まっていたファーストリパブリックバンク(FRC)に対して、米大手銀行11行は総額300億ドルの預金預け入れを公表し、大手銀行の財務状況が健全であることを示した。
一連の迅速な対応によって、同23日時点で銀行の更なる連鎖破綻は起きていない。一連の措置は、対応が後手に回ったことで金融システム全体の危機へとつながった2008年のリーマン・ショックの教訓を生かしたと評価できる。
銀行不安が幾分緩和する中、FRBは同21、22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。市場の中では利上げ停止を期待する声もあったが、パウエル議長は銀行システム全体が健全であり、流動性供給などによって事態が落ち着きつつあるとの見解を表明。インフレの高止まりリス…
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週刊エコノミスト
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