マーケット・金融

米銀破綻は2行で止まったが次の懸念はノンバンク 矢作大祐

経営破綻した米シリコンバレー銀行の本店(3月14日、カリフォルニア州サンタクララ) Bloomberg
経営破綻した米シリコンバレー銀行の本店(3月14日、カリフォルニア州サンタクララ) Bloomberg

 3月10日、資産総額2000億ドル(約26兆円)超の米シリコンバレーバンク(SVB)が預金流出に対応できずに債務超過となり、経営破綻した。また同12日に、暗号資産ビジネスに強いシグネチャーバンク(SBNY)が経営破綻し、米銀行セクターの連鎖破綻に対する不安は一層強まった。こうした不安に対して、米政府や連邦準備制度理事会(FRB)、米大手銀行は迅速に対応した。同日中に政府は破綻した両銀行の預金を全額保護すると発表するとともに、FRBは銀行セクターに流動性を供給することで、取り付け騒ぎや資産の投げ売りの発生を防いだ。同16日には破綻懸念が高まっていたファーストリパブリックバンク(FRC)に対して、米大手銀行11行は総額300億ドルの預金預け入れを公表し、大手銀行の財務状況が健全であることを示した。

 一連の迅速な対応によって、同23日時点で銀行の更なる連鎖破綻は起きていない。一連の措置は、対応が後手に回ったことで金融システム全体の危機へとつながった2008年のリーマン・ショックの教訓を生かしたと評価できる。

 銀行不安が幾分緩和する中、FRBは同21、22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。市場の中では利上げ停止を期待する声もあったが、パウエル議長は銀行システム全体が健全であり、流動性供給などによって事態が落ち着きつつあるとの見解を表明。インフレの高止まりリス…

残り575文字(全文1175文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事