年末の金価格は「2200ドル超」 欧米投機筋が参入すれば騰勢に勢い 亀井幸一郎
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ニューヨーク金先物価格(NY金)が5月4日、一時1トロイオンス=2085.40ドルまで買われ、2022年3月のロシアのウクライナ侵攻後に付けた高値を超え、20年8月の取引時間中の過去最高値2089.20ドルに急接近した(図)。5月2~3日の日程で開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文で、利上げの打ち止めを示唆されたことに反応して買われたものだった。
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また、円安傾向も加わり、国内大阪取引所の金先物価格は過去最高値の更新を続け、一時1グラム=8870円(5月8日)まで買われた。
足元のNY金市場の大きな特徴は、過去最高値水準にもかかわらず相場が過熱感を感じさせないことだ。実際に米商品先物取引委員会(CFTC)が週次ベースで公表しているデータでは、投機筋(ファンド)のネットの買い持ち高(ロング)は5月9日時点で重量換算にして701トンと、ロシアによるウクライナ侵攻後の999トン(22年3月8日)や新型コロナウイルスの感染拡大がリスク要因として意識された20年2月18日時点の1209トンと比較しても、買い余地が大きいことを示している。
これまで過去2回の2000ドル突破は、先物市場でのロングの急増とETF(上場投資信託)への大量の資金流入による急騰相場によりもたらされたものだった。しかし、今回は金ETFの動向をみても、残高にはほとんど動きがみられず、今回の上昇相場では欧米投機筋がフルに参入していないこともポイントの一つとなる。
未実現の手掛かり材料
マクロ要因を含め金市場を取り巻く環境を見ると、価格を上方に刺激する要因が多いのは確かだ。…
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週刊エコノミスト
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