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教養・歴史 サッカー

日本サッカー協会の動画配信が人気 裏側密着でサポーターとつなぐ 元川悦子

ワールドカップカタール大会の初戦ドイツ戦ハーフタイムで張りつめた雰囲気の日本代表ロッカールーム JFATV「Team Cam vol.07|歴史的な逆転勝利 ドイツ戦の舞台裏|FIFA World Cup Qatar 2022 Nov-Dec 2022」(2022年11月25日公開)より
ワールドカップカタール大会の初戦ドイツ戦ハーフタイムで張りつめた雰囲気の日本代表ロッカールーム JFATV「Team Cam vol.07|歴史的な逆転勝利 ドイツ戦の舞台裏|FIFA World Cup Qatar 2022 Nov-Dec 2022」(2022年11月25日公開)より

 日本サッカー協会が新型コロナウイルス禍の中で取り組んだ動画配信の試み。臨場感にあふれ、撮影から間をおかない公開も相まって、ファン層の拡大にも大きな成果を上げている。

 日本サッカー協会(JFA)の公式ユーチューブチャンネル「JFATV」で、男子日本A代表に密着した動画シリーズ「Team Cam」(チームカム)が人気を集めている。昨年11~12月に開催されたサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会での動画で一気に火が付き、チームとサポーターを結び付ける重要なツールとなっている。

 W杯カタール大会のグループリーグで、劇的な逆転勝利を挙げた初戦のドイツ戦。試合前のミーティングで「スタッフで何回も議論を重ねて、最後はオレが決断して最高の26人(の代表選手)を選べた」と鼓舞する森保一監督。勝ち越しゴールを決めた浅野拓磨選手(ボーフム=ドイツ)の「自分がヒーローになることしか考えていなかった」というリラックスしたインタビュー──。試合2日後の11月25日に公開した動画だ。

カメラマン2人が帯同

 ドイツ戦の舞台裏を記録した動画は、28分47秒と長めながら再生回数が410万回(今年5月16日現在)と異例の多さを記録した。ドイツ戦に勝ったことも当然に影響しているが、テレビのドキュメンタリー番組を見ているかのような映像や編集の質の高さも見逃せない。ホテルの廊下を歩く選手は低いアングルから撮影し、1点をリードされて迎えたハーフタイムの張りつめたロッカールームの映像では手ブレが臨場感を高める。

 試合の前に突然、気合を入れるため髪を赤く染めた長友佑都選手(FC東京)に、久保建英選手(レアル・ソシエダ=スペイン)が「追加メンバーですか」と冗談で突っ込むシーンもあり、視聴者もチームに帯同しているかのような錯覚さえ起こす。動画は13の内容に分けてそれぞれチャプター(目次)を設定し、視聴者が見たいシーンから選べるようにしたり、選手のインタビューでは字幕も付けたりしている。

 勝利でグループリーグ突破を決めたスペイン戦の動画も再生回数355万回、惜しくも敗れて悲願の8強入りを逃したクロアチア戦の動画は267万回を数える。カタールへの出発からチームの解散まで、公開した14本の動画の合計は1400万回とすさまじい反響を得た。それ以前は50万回にも届かない動画が多かっただけに、JFAにとっても大きなサプライズだったようだ。

 02年のW杯日韓大会、06年ドイツ大会の主将を務めたJFAの宮本恒靖専務理事は、成功の要因をこう分析する。「人々が知りたい情報を迅速に伝える試みは今の時代、すごく大事。JFAもテレビ局や(インターネットテレビ)ABEMAとともに約1年前からW杯の盛り上げ策を議論し、大会直前(11月15日)にはオンライン壮行会を実施するなど工夫を凝らしてきた。ただ、W杯初戦勝利のインパクトは想像以上に大きかった」

 W杯時は外部の契約カメラマン2人がチームに帯同した。チームカムが始まった20年からチームを追い続ける彼らは、森保監督や主将の吉田麻也選手(シャルケ=ドイツ)らと気心が知れており、本音を引き出すことができた。長時間にわたる撮影動画を日本で待機するスタッフに送信し、日本で編集作業を進めた後、選手、JFAの広報・プロモーション、マーケティング、総務の4者がチェックして表に出す形で、最速で2日後には配信していた。

選手側からも「やろう」

 新型コロナウイルス禍の最中の20年10月にスタートしたチームカム。JFAはすでに13年、ユーチューブチャンネルを開設していたが、男子A代表の練習風景や…

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