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週刊エコノミスト Online 日本株 沸騰前夜

注目業界1〈自動車〉中国のEV伸長は懸念材料 遠藤功治

 前期の業績は急回復したが、設備投資・固定費が急拡大、米中市場も不安だ。

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 2023年の新車需要は、米国市場が前年比7%増の1500万台程度。中国は同1%減の2650万台とほぼ横ばいの予想だ。しかし、日産自動車、ホンダ、SUBARUなどは、米国市場の販売台数を前年比20%前後の増加としている。これは果たして可能なのか。米国は年後半に景気後退入りの観測も出ており、市場の伸び率が想定を下回る可能性もある。中国市場は電気自動車(EV)のシェアが急速に伸びており、日本車の中心車種であるガソリン車、ハイブリッド車の市場は縮小しつつある。だが、日系各社の中国市場の販売目標は前年比10%以上の増加と強気だ。

 また、日系各社は、研究開発費や設備投資を大幅に増額させている。このため、為替のプラス要因を除けば、業績拡大が減速する可能性が高まっている。今期最高益更新のトヨタ自動車のPBR(株価純資産倍率)は0.9倍、ホンダが0.5~0.6倍と、株式市場からの評価が低水準の理由がここにある。各社とも増配や自社株買いに取り組み、PBR1倍割れへの対応を表明しているが、現時点では市場からの評価は高くない。

トヨタは大型買収検討か

 各社の今期業績予想だが、トヨタは営業利益3兆円を計画し、過去最高益更新を掲げる。想定為替は1ドル=125円。生産目標台数は前年比11%増の1010万台と初の1000万台超えだ。この増加幅はSUBARU1社分の年間販売台数に匹敵する。販売拡大の主戦場は北米と中国だ。今年は新型クラウンやプリウスの拡販に加え、主力車種の新車投入が相次ぎ、車種構成がさらに充実する。一方で、設備投資は2兆円に迫るほどの大幅増で、電動化、新型電池、自動運転など、投資領域は目白押しだ。部品メーカーのコスト上昇の一部肩代わりまでしている。他方、過去継続的に実施した自社株買いで、発行済み株式総数に占める自社持ち株比率は20%近くに達しており、ソフト関連領域で企業買収を行う可能性がある。

 ホンダは24年3月期で過去最高の営業利益1兆円を計画。だが、利益の半分は過去最高の販売台…

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