徹底分析・銀行株《メガ》三菱UFJなど大幅増配へ 自社株買いでPBR1倍も マイケル・マクダッド
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株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る株式は、投資家が期待するリターンを達成できていないとして、東京証券取引所が問題視している。東証は3月31日、PBR1倍未満の状態が続く上場企業に対し、PBRを引き上げるための対策を検討するよう要請した。
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PBR1倍割れはメガバンクにとって新しい話ではない。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGのメガバンク3社のPBRは、過去10年近くにわたっていずれも1倍を大きく下回っている(図1)。
三菱UFJとみずほが5月15日に発表した2024年3月期の配当予想は、市場の期待を上回るものだった。22年3月期~24年3月期(予想)にかけて、三菱UFJの1株当たりの年間配当は28円、32円、41円、みずほは80円、85円、95円と大幅に向上している。三井住友も同じく210円、240円、250円と、24年3月期に小幅ながら増配を予想している。
折しも今年3月、シルバーゲート銀行を皮切りに米国の地方銀行が相次いで破綻し、欧州にも連鎖したばかりの時期だ。銀行経営の環境に潜在的なリスクが高まっていることが強く意識されていた。現にメガバンク3社は自社株買いの発表を見送っている。
そうした不確実性が高い時期だったにもかかわらず、三菱UFJとみずほが大幅な増配予想を発表したのは驚くべきことだ。これはメガバンクの株主配当を巡る姿勢が変化していることを示している。つまり、増配することで株価を引き上げ、PBR1倍割れを解消したいという姿勢を強めていると考えられる。
筆者は株式調査アナリストとして日本の銀行を担当してきた7年間、三菱UFJとみずほより、三井住友と三井住友トラスト・ホールディングス(HD)に、1倍には及ばないまでもやや高めのPBRを予想することが多かった。各社の将来の株主資本利益率(ROE)に関する私の見解を反映しただけでなく、将来の増配能力も考慮したものだ。
みずほも配当率向上
三菱UFJについては「もっと増配する能力があるのではないか」と考えていたが、同社の経営者が増配を決めるスピードには今…
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週刊エコノミスト
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