マーケット・金融 逆風の銀行
インタビュー「外債の追加損切りで健全化」片岡達也コンコルディア・フィナンシャルグループ社長
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地銀大手の横浜銀行を傘下とするコンコルディア・フィナンシャルグループの片岡達也社長に、地域経済や地銀経営の今について聞いた。(聞き手=安藤大介・編集部)
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── 新型コロナウイルスの感染拡大から3年がたち、社会経済活動の正常化が進んだ。地域経済の現状は?
■緩やかな回復が続いている。欧米の景気後退が懸念されるが、それが解消されれば輸出も伸びるだろう。個人の活動が活発化しており、個人消費の後押しで景気が回復する兆しが見えてきている。
コロナ禍の3年間で、(コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の)横浜銀行も東日本銀行も(実質無利子無担保の)ゼロゼロ融資やプロパー(自前)融資を多く利用してもらった。返済が滞っている顧客が急増しているという状況ではなく、条件変更をする顧客も数%程度だ。
ただ、倒産件数は、水準は低いものの増加傾向にある。電力などの光熱費の値上がりや資源価格の上昇、為替の問題で影響を受けている企業も多い。運輸業のドライバー不足など労働面の問題もある。顧客を取り巻く環境は厳しくなると予想されるので、横浜銀行では融資部に「経営サポート室」を設け、先手先手で経営支援などができるような体制を取っている。
── 米国の金利上昇により多くの地銀が保有有価証券で損失を出している。
■2023年3月期連結決算では、米国の金利上昇に伴い、外国債券の損切りを186億円実施した。(償還期日が)長めの米国債で運用しているが、外貨の調達コストが運用利回りを上回る「逆ざや」の状態となった。金利上昇は、今期中に一服すると思っているが、24年3月期中にさらに210億円程度の損切りを実施する。ポートフォリオ(資産構成)を入れ替え、財務を健全化させる。
決算自体は当期純利益が561億円となり、前期比22億円の増益だった。(取引先に経営課題の解決策を提案する)ソリューション営業…
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週刊エコノミスト
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