インタビュー「個人の収益目標をゼロにしたら営業員が顧客に会う時間が増えた」浜本吉郎みずほ証券社長
有料記事
岸田文雄政権が打ち出した「資産所得倍増計画」や来年大幅に拡充される新NISAは「貯蓄から投資へ」を定着させられるか。みずほ証券の浜本吉郎社長にマクロ経済の現状を含め聞いた。(聞き手=浜條元保/谷道健太・編集部)
>>特集「日本株まだ上がる」はこちら
―― 政策金利を異例のペースで引き上げているにもかかわらず、米国のインフレ(物価上昇)が目標の2%に下がってこない。
■浜本氏 6月中旬にニューヨークを訪問した際、ノーランディング、あるいはニューノーマルという言葉を聞いた。利上げをしても、サプライサイドを起点とした高いインフレが続くという見方だ。高インフレ、高金利、低失業率、低成長というマクロ構造がしばらく続くという意味だろう。リスクシナリオはいろいろ語られ、3月以降、地銀の破綻があったが、そのショックは吸収された。
―― なぜか。
■米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ対応に向けて利上げをしているが、バランスシート(貸借対照表)は拡大したままだ。つまり、まだ市場には潤沢にマネーがある。さらにノンバンクやプライベートセクターの鼻息が非常に荒い。地銀が破綻したら、いくらでも買うという強気の態度だ。大きなクラッシュが起きるとは想定していない。
外国人に買い余力
―― 日本にもインフレが押し寄せている。
■インフレの持続性からは日本も逃れられない。持続的なインフレに海外の投資家の期待が高まっている。人手不足、少子化が進む日本は、人的投資にもっとも深刻に向き合わなければならない。賃上げは政府の要請ではなく、企業自らが取り組まないと、事業を継続できず、株価を維持できない。賃上げに伴うコスト増をバリューチェーンの中で、製品やサービス価格に転嫁できる仕組みが浸透し、理解されるようになった。企業も売り上げを伸ばし、ROE(株主資本利益率)を上げ成長基軸を見せて、PBR(株価純資産倍率)を上げない…
残り2165文字(全文2961文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める