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法務・税務 マンション

被災マンションの再建手続きは一部滅失なら区分所有法、全部滅失なら被災マンション法で 大木祐悟

左のマンションは1階部分がなくなっているため全部滅失と判断された(1995年の阪神・淡路大震災で被災)。右のマンションは潰れているのがピロティ部分のみであるため大規模一部滅失と解された(2016年の熊本地震で被災)いずれも筆者提供
左のマンションは1階部分がなくなっているため全部滅失と判断された(1995年の阪神・淡路大震災で被災)。右のマンションは潰れているのがピロティ部分のみであるため大規模一部滅失と解された(2016年の熊本地震で被災)いずれも筆者提供

 大地震はいつ発生するか分からない。被災時に慌てないためにも、被災区分や適用される法律についてあらかじめ、知っておきたい。

罹災証明の被害認定は「全壊」以下6段階

 台風や地震など、自然災害が多く発生する日本であるが、近年は頻度もさらに増えているように感じられるほか、被害も大きくなる傾向がある。ところで規模が大きな災害に遭遇すると、私たちの生活の本拠である「住まい」も一定の被害を受ける可能性がある。防災を考えるときは、単に家具の転倒防止や防災備品の整備だけでなく、住まいについてもとるべき対策を講じておく必要があるが、併せて住まいが被災したときの復旧についても考えておくべきだろう。

 ところで、私たちの住まいが一戸建て住宅であるときは、所有者一人の判断で復旧についても判断することができるが、マンションの場合には、被害を受けた建物や付属施設の修繕や復旧を進めるためには管理組合の総会において決議が必要となる。そのため、区分所有者の合意形成を進めることが大事だ。そこで本稿では、マンションが被災したときの復旧の手続きについて述べるとともに、そうした手続きを踏まえた防災について考えてみたい。

被害は管理組合が判断

 マンションが被災したときの復旧を進める際には、前述の合意形成のほかに厄介な問題として、建物の被害状況によって総会の議決要件が異なることと、現状では適用される法律が異なる点を挙げることができる。

 まず、マンションが被災したときの被害区分についてみてみよう(表1)。

 さて、大きな自然災害などにより建物が被災すると、市区町村が「罹災(りさい)証明」を発行することになる。罹災証明では建物の被害を「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」と6段階に分けて認定している。この中で「全壊」という言葉は表1の「全部滅失」という言葉に近い響きがあるし、「大規模半壊」と表1の「大規模一部滅失」についても似たようなイメージを受けるが、実際にはこれらの言葉の示す意味はイコールではないことにも注意が必要である。

 そのほか、罹災証明における被災区分は市区町村から派遣された調査員が判定をするのであるが、被災マンションの復旧の決議をするのはそれぞれのマンションの総会であるため、被災区分を判断するのも各マンションの管理組合等となる。もっとも、現実には管理組合で判断をすることが難しい場面も少なくないが、このようなときは、建築士や不動産鑑定士のほか、必要に応じて弁護士などからのアドバイスを受けながら判断をすることになるだろう。

 次に、被災区分ごとに復旧等について適用される区分所有法の条項…

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