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経済・企業 セゾン投信騒動

激白!セゾン投信前会長「クレディセゾンは顧客本位の流れに逆行している」

「積立王子」の呼び名で知られた中野晴啓氏が、セゾン投信会長CEO(最高経営責任者)を6月28日付で退任した。投資信託を個人投資家に直接販売する「直販」を重視してきた中野氏。しかし、親会社のクレディセゾンと対立、退任に至り、7月中にも新会社の法人登記を目指すという。クレディセゾンの林野宏会長CEOとの間で何が起きたのか。本誌単独インタビューで中野氏が胸中を語った。(聞き手=川辺和将・金融ジャーナリスト)

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── 電撃的な退任だった。一体、何があったのか。

■解任を言い渡されたのは4月5日、東京・池袋のクレディセゾン本社に呼び出され、同社の林野会長と2人きりで会った。林野氏は「16年かけて、(運用資産総額が)たったの6000億円しか集められなかったのは失敗だ。やり方を全面的に変えて金融機関と提携し、セゾン投信として5兆円を目指す。そのやり方ができないあなたは邪魔だ」などと、10~15分にわたり語った。

 僕には発言の機会がほとんどなかったが、林野氏の主張には全く納得できなかった。日本の金融業界が官民を挙げて目指している「顧客本位の業務運営」(自社の収益ではなく、顧客の利益を優先するビジネスの姿勢)の流れに、完全に逆行していると感じたからだ。

「あなたの経営が悪い」

── 以前は林野氏との関係は比較的良好だったと聞くが。

■林野氏と初めて話したのは2000年。当時、僕はクレディセゾンの系列会社で運用業務を任され、さわかみ投信創業者の澤上篤人氏(現さわかみホールディングス代表)に触発されて「長期投資が広がれば、世の中が変わる」という思いを強くしていた。当時、クレディセゾン社長だった林野氏に宛てて手紙を書くと、本人からすぐ電話があり、「読んだよ、面白いじゃないか」。僕の計画の社会的意義をすぐに理解してくれた林野氏は、基本的には感性が鋭敏なところがあるのだと思う。

── しかし、その後は順調ではなかった。

■投信会社を立ち上げる準備を進めていたところ、予想外のことが起きた。林野氏は「プロの社長がいないと、できないでしょう」と、運用のプロとはいえないような人を米国系の銀行から社長として連れてきた。その人は「運用会社ではなく証券会社を作り、グロソブ(「グローバル・ソブリン・オープン」という当時人気が高かった毎月分配型の投信)を売りまくろう」と言い出した。命令を聞かない僕は閑職に左遷された。その後、グループ内の金融事業を再構築するプロジェクトに参加し、06年にようやくセゾン投信の設立にこぎつけた。

── 07年、セゾン投信社長に就任してから、親会社との関係に悩むことはあったのか。

■資産運用について上(クレディセゾンの経営幹部)が、深く理解をしているとは思えなかった。投信の購入による資金流入は続いていたが、(08年の)リーマン・ショック後に(運用成果を示す)基準価額が下がるのを見た林野氏から、「あなたの経営が悪い」と言われたことがある。また、新興国の株価が好調な時期には「新興国株の投信を作れ」とも言われた。圧力に屈しないようあらがいつつ、正面から衝突する事態はなるべく回避するように努めていた。

「楽天」巡り衝突

── 初めて正面からぶつかったきっかけは楽天だったと聞く。

■つみたてNISA(少額投資非課税制度)の導入(18年)に合わせ、セゾン投信の商品を楽天証券で販売してもらう準備を進めていた。楽天グループはクレジットカード事業でクレディセゾンと競合しているものの、投信のエコシステム(生態系)として定着したネット証券を、いずれ相手にすべきだと考えていたからだ。この計画が林野氏の耳に入り、実現の直前で強引に止められてしまった。

── そもそも「直販」を掲げつつ、セゾン投信の商品を一部の金融機関で販売させたのは、なぜか。

■直販の本質的な価値は、一人一人の顧客と対話し、自らの意志で資産形成への一歩を踏み出してもらうことにある。こういう価値を体現する方法は(直販だけでなく)さまざまだと考えている。

 積み立てでコツコツと顧客の資産を育てていくビジネスモデルに共感…

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週刊エコノミスト

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