インタビュー「中野晴啓氏を引退させてはいけない」澤上篤人さわかみホールディングス代表
有料記事
セゾン投信のトップ電撃退任について、顧客本位の長期積み立て投資のパイオニア、澤上篤人さわかみホールディングス代表に聞いた。(聞き手=浜條元保/谷道健太・編集部)
>>特集「セゾン投信騒動」はこちら
セゾン投信の創業者である中野晴啓会長CEO(最高経営責任者)が6月28日、親会社のクレディセゾンによって事実上、解任された一件を私は衝撃をもって受け止めている。彼は全国各地を訪れ、「長期・積み立て・国際分散投資」の重要性を訴え続け、ここまでセゾン投信を育ててきた功労者だ。中野氏をこのまま引退させてはいけない。それは、投信業界の大きな損失だ。
口座番号1は林野会長
顧客本位の長期・積み立て投資を目指す投信会社を作りたいと、私のところに中野氏が相談にきたのは、2000年ごろだったと記憶する。
日本に本物の長期投資と資産運用ビジネスを普及させるには、独立系の投信会社を作るしかない──。そう考えて、私は日本で初めてとなる独立系で直販の投信会社「さわかみ投信」を設立した。悪戦苦闘しながらも「さわかみファンド」を軌道に乗せ、直販の投信仲間を増やそうと動き出していた時期だった。
高い手数料を取る銀行や証券会社を通さず、顧客に投信を直販するというスタイルは、「さわかみファンド」に通じるものがある。彼の心意気や志の高さに共感し、可能な限り支援することにした。
ただ、クレディセゾンの役員会では、収益性が危ぶまれるなどの理由から反対されているという。
そこで、私がクレディセゾンの役員会に出席して、今後、貯蓄から投資を広め、これを根付かせるには顧客に寄り添い長期投資の高い理念・理想を持った直販モデルが重要であることを力説した。この考えにクレディセゾンの林野宏社長(当時、現会長)が共鳴し、06年にセゾン投信を立ち上げた。純粋な独立系ではないが、方向は私と同じだ。
セゾン投信の口座番号1は林野氏、2が中野氏、3が私だった。
「親会社問題」に一石
報道によると、林野氏は「直販を中心とした販売方針を転換、クレディセゾンのクレジットカードの顧客基盤や金融機関との提携を生かし、販路拡大に取り組む」と、中野氏との路線…
残り879文字(全文1779文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める