AI関連がけん引する米国株 史上最高値を試す展開に 広木隆
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米国株は、米経済の軟着陸への期待から、史上最高値の更新が期待される。
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7月下旬、ダウ平均は1987年以来となる13連騰を記録した。ダウ平均は昨年年初につけた史上最高値から昨年9月末のボトムまで8000ドルあまり下落したが、既にその下落幅の8割を取り戻した格好だ。史上最高値(3万6799ドル)まであと3%の上昇率で届く。
この株高の背景には米国経済のソフトランディング期待がある。一時は米国景気のリセッション入りは不可避、との見方が大勢を占めたが、現在では景気後退懸念はかなり下火になっている。年後半の景気後退入りはなく、来年前半にあったとしても「谷」の浅いマイルドなものになるだろうとの見方がコンセンサスではないか。その理由は労働市場の堅調さとインフレの伸び鈍化によるFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ停止観測だ。そもそも景気後退を招くと予想された理由の最たるものがハイペースの金融引き締めだった。最大の理由がもはや終わろうとしているのだから景気後退そのものへの懸念も薄らいで当然だろう。
テクノロジー株に期待
もうひとつ、米国株のラリーをけん引してきた材料はAI(人工知能)などテクノロジーへの期待だ。業種別の年初来パフォーマンスを見ると、1位が情報技術、2位がコミュニケーションだ。これら業種のウエートが大きいナスダック総合指数は今年上半期に32%上昇し、上半期として1983年以来、40年ぶりの上昇率を記録した。しかし、それでも史上最高値からボトムまでの下げ幅に対して66%を戻したに過ぎない。下げ幅の80%を戻し、高値まであと3%に迫るダウ平均に比べて戻り余地は大きい。足元は半導体不況の色彩が濃いが、逆に見ればいまが最悪期で今後は回復していくだろう。下半期の米国株はAI関連を中心にハイテク株がけん引する格好で5~10%程度上昇し、史上最高値を再び更新する可能性はじゅうぶんにある。
ただし、当面は横ばい推移ではないかとも考えている。その理由はバリュエーション(株価指標)が相当割高になっているからだ。S&P500の株式益利回りと米国…
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週刊エコノミスト
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