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“脱炭素に一番近い島” 屋久島町とアウディがEV普及で連携(編集部)
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電力のほぼ100%を水力で賄う屋久島が地域活性化のため、EVの導入に踏み出した。
水力発電による豊富な再エネを活用
アウディジャパンと鹿児島県屋久島町、アウディの正規代理店を運営するファーレン九州(鹿児島市)の三者が7月11日、屋久島における電気自動車(EV)の活用などを柱とした包括連携協定を結んだ。アウディが島内に計7基の普通充電器を設置するほか、ファーレン九州が観光客のレンタカー用に最新のEVを提供することなどが主な取り組みとなる。
年間の降雨量が7000~8000ミリメートルと東京都(同1600ミリメートル)の約5倍にも及ぶ屋久島は、島内の電力の99.6%を水力発電で賄っており、「脱炭素に一番近い島」との異名を持つ。また、樹齢7200年の縄文杉をはじめ豊富な観光資源を持つ同島は、島の収入の7割が観光業から発生している。EVの導入で「再エネを生かしたクリーンな島づくり」(荒木耕治町長)を進めることで、環境意識の高い国内や海外からの来島者を増やしたい考えだ。
一方、アウディは2021年に発表した経営戦略「Vorsprung 2030」で、自動車のEV化を急速に進めている。高級車を購入する富裕層は、持続可能性(サステナビリティー)への対応を自動車選びの判断材料としつつあり、1993年に世界自然遺産に登録された屋久島との連携はブランドイメージの向上につながるとの考えがある。
地元高校で出張授業も
今回の協定によりアウディは、屋久島町役場本庁と出張所にそれぞれ3基と1基、水力発電事業を行っている屋久島電工株式会社に1基、THE HOTEL YAKUSHIMAに2基の出力8キロワット時の普通充電器を提供する。ファーレン九州は9月から、アウディのEVを屋久島町役場と屋久島電工に1台ずつ長期貸与するほか、10月からは、THE HOTEL YAKUSHIMAにて、最大5台の新型SUV(スポーツタイプ多目的車)Q4 e-tronのレンタル事業を開始する。
アウディジャパンのマティアス・シェーパース・ブランドディレクターは、「屋久島を訪れる観光客は自然に非常に関心があり、再エネや二酸化炭…
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週刊エコノミスト
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