週刊エコノミスト Online 投信道場~新NISAで始める
新NISAでも売れ筋はインデックス型 三菱UFJ国際が独り勝ち 前山裕亮
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新NISAでもインデックス型投信が売れ筋になることが見込まれており、運用会社間のコスト競争が激化している。
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新NISA(少額投資非課税制度)を前に積み立て投資がかなり浸透してきている。NISAの総口座数は2023年3月末時点で1874万口座、つみたてNISAに限っても783万口座となっている。また、つみたてNISAの制度開始来の累積買い付け額は3兆2000億円を超え、今や外国株式投信を中心に毎月1200億円以上の買い付けが行われている。つみたてNISA対象の外国株式投信の販売動向をみても、すべてがつみたてNISAからの資金ではないが、20年以降に資金流入(購入額から売却額を引いた額)が急増している。やはり19年の年金2000万円不足問題がきっかけで積み立て投資を始めた人が多いことがうかがえる。
ただ、23年に入ってからその販売動向にやや変化がみられる。それは、これまで人気だった米国株式投信の資金流入(購入額から売却額を引いた額)がやや鈍化したことである。20年から米国株式投信への資金流入の増加が特に顕著で、実に21年下半期から22年上半期は全体の7割超が米国株式投信だった。それが23年上半期は米国株式以外の投信への資金流入は増加した一方で米国株式投信はやや減少し、その比率も6割程度まで低下した(図1)。
23年上半期は米国株式が上昇し、さらに円安が進行したため米国株式投信の基準価額は大きく上昇した。そのため単に米国株式投信で利益確定の売却が膨らみ一時的に鈍化しただけの可能性はある。ただ、22年に米国の高インフレや金融引き締めが重しになり、米国株式が久々に大きく下落した。そのこともあり米国株式への集中投資から全世界株式などへと、より分散投資を意識する投資家が相対的に増えているのかもしれない。
最低水準の低コスト
新NISAでは米国株式などに集中投資するか、それとも全世界株式などで分散投資するかは非常に悩ましい問題である。いずれにしても、つみたてNISA同様に新NISAでも外国株式の特にインデックス型投信が売れ筋になることが見込まれる。それを見越して運用会社間でのコスト競争が再び勃発している。
振り返ると18年のつみたてNISA開始時にも、運用会社間でインデックス型投信のコスト競争が起こった。その時の勝者が三菱UFJ国際投信であり、現在独り勝ち状態になっている。つみたてNISA対象商品(ETFは除く)の純資産総額の上位10社をみると、三菱UFJ国際投信は23年7月末時点で5.8兆円と最大になっており、次の楽天投信投資顧問の1.5兆円の約4倍となっていることからも独り勝ち状態が分かる(図2)。
三菱UFJ国際投信が突出して純資産総額が増えたのは、『eMAXIS Slim』シリーズの大ヒットがある。当シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを掲げ、つみたてNISA開始前年の17年に新規設定された。新設当初は既存の『eMAXIS』シリーズの引き下げではなく新規に『eMAXIS…
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