インタビュー「フリーランスの報酬引き上げに本腰を」平田麻莉プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事
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取引で弱い立場に置かれるフリーランス。インボイス対応の現状などを聞いた。(聞き手=中西拓司・編集部)
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急激なインフレやガソリン価格の高騰などに加え、今年10月からのインボイス制度導入によってフリーランスの生活が一層揺らいでいる。労働者の賃金を巡っては最低賃金が引き上げられ、来年の春闘に向けて賃上げの機運も高まる一方、フリーランスの中には何年も同じ報酬で働いている人も多い。人手不足が深刻な中、優秀な人材を確保するためにも、企業はフリーランスの報酬引き上げに本腰を入れてほしい。
フリーランス約600人を対象にしたフリーランス協会のアンケート(2021年)では、免税事業者が68.8%を占める。発注元から消費税分の支払いを拒否されたことがあったか聞いたところ、21.8%が「過去にあった」「現在もある」と答えた。協会には現在も、(免税事業者への)取引停止や消費税分の値引きを一方的に通知されたとの訴えが寄せられており、独占禁止法や下請け法違反に当たる可能性がある。
消費税に関する知識が(発注元に)乏しい問題も深刻だ。(デザイナーなど)「文化芸術系」のフリーランスの中には、発注元の企業から「うちは消費税をやっていない(からその分は払えない)」と言われた人もいる。消費税は国の税制の一つで、一企業がやる、やらないは決められない。法令違反のリスクを摘みとるためにも、国はインボイス導入を機に発注者・受注者双方の税務リテラシー向上に努めてほしい。
「2%アクション」開始
昨年10月のフリーランス協会の調査では、インボイス発行事業者に登録した人や登録を検討している人は36.7%だった一方、43.2%が「分からない」などと答えている。今後新たに登録する人は、小規模事業者を対象にした「2割特例」をぜひ使ってほしい。今年10月以降、3年間は受け取った消費税の2割だけ納…
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週刊エコノミスト
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