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法務・税務 インボイス&電帳法

インボイスの不備が少々なら問題なし 電子データ保存は要注意 松嶋洋

 インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の猶予期間が終わっても、税務調査への対応はこれまでと変わらない。不正取引をしない限り、心配は無用だ。

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 今年10月1日からスタートするインボイス制度について、消費税の実務上問題になるのは、インボイス(適格請求書)の記載事項が細かく定められている点だ。これらを満たさないとインボイスとして認められず、消費税の納税負担が増してしまう。ただし、今後の税務署による税務調査の際に、記載事項を細かくチェックされることはほとんどないだろう。

 鈴木俊一財務相は今年2月の国会答弁で、「税務調査は脱税などの不正発見のために行われるのが建前であり、記載事項を細かくチェックするような税務調査をインボイス制度がスタートしても目的とはしない」という趣旨を回答し、国税庁側も「インボイスの記載事項が不足していたとしても、他の書類なども確認するなどして柔軟な対応をするように考えている」といった答弁をしている。

 実は、インボイス制度スタート前の消費税の申告でも、所定の事項が記載された請求書などを保存していなければ法律上、仕入れ税額控除(受け取った消費税から支払った消費税を差し引くこと)が認められないとされる。しかし、税務署は請求書の記載事項について、現状は厳しく指導していない。請求書が法律上の要件を満たさなくても、経費を支払った事実を確認できれば、税務署は仕入れ税額控除を原則認めているのである。

 その典型例として、クレジットカード明細が挙げられる。国税庁のホームページには、明細で支払った事実が判明しても、実際に店舗で交付されるレシートなどを保存していない場合には、仕入れ税額控除を認めないと明記されている。しかし、経費を支払った事実は明確であり、税務署は実際の申告では納税者に配慮して、クレジットカード明細だけでも原則として仕入れ税額控除を認めている。

手間を嫌う調査官

 何より、税務署の調査官は、1枚1枚請求書をチェックするといった手間を極度に嫌う。税務署の組織では、調査官の評価は税務調査でどれほどの「増差税額」(調査により追徴できる税額)を指摘できたかで決まる。インボイスの記載事項を細かくチェックしたとしても、多額の増差増額を指摘できるとは限らないし、納税者に記載事項の誤りを指摘しても評価の対象にならない。

 消費税の税務調査で、請求書が保存されていないことが問題にされたケースとしては、宛名が仮名であるといった不正取引がある場合や、経理書類を見せないなど税務調査に協力しない納税者に対するものがほとんどだ。このため、不正取引をせずに税…

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