税理士もつらいよ! インボイスと電帳法への対応が生き残りを掛けた試金石に 宮口貴志
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企業を顧問先として抱える税理士にもインボイス制度関連の仕事が重くのしかかる。
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企業や団体などの事業者は消費税などの税務処理を外部の税理士事務所に一任しているケースが多く、インボイス(適格請求書等保存方式)制度が始まれば税理士も膨大な事務負担を抱える。来年1月には、電子帳簿保存法(電帳法)の電子データの宥恕(ゆうじょ)措置(猶予期間)が期限切れとなることから、その対応ものしかかる。
周囲の税理士にインボイス制度への対応を聞くと「会計ソフトが対応するので問題ない」「10月以降、トラブルがあったら対応する」──などと楽観的に考えている人が多いが、手間が増える消費税業務は大半の税理士にとって「鬼門」になるともいわれている。インボイス制度の対応を甘く見ていると、顧問先などからの訴訟リスクにつながりかねない。
インボイス制度に対応するには、事業者は税務署へインボイスの発行事業者登録をしなければならない。この登録をした事業者だけがインボイスを発行できる。現在の請求書(区分記載請求書)の記載事項に加えて、インボイス登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額などを記入する必要があるため、記入ミスや漏れなどが頻発すると予想される。
報酬アップも難しく
税理士事務所としては、顧問先が取引先から受け取った請求書の記載事項が正しいかどうか判断するとともに、その請求書の保管などをサポートする業務も増えることが予想される。会計ソフトや請求書発行システムを利用していても、最終的に誰がどのように確認するかなどのチェック体制を再構築しておく必要もある。
また、インボイス制度が始まっていないことから、受け取った消費税から支払った消費税を差し引く仕入れ税額控除の細かな実務対応部分などで不透明なことも多い。国税庁はウェブサイトで「インボイス制度に関するQ&A」を公開しているが、内容…
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週刊エコノミスト
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